慈善活動に熱意を
事業が軌道に乗ると、現地社会への貢献を考えるようになり、積極的に台商総会やロータリークラブなどの組織に参加し、またタイにおける彰化同郷会を組織して交流を深め、後進を助けてきた。2015年5月にタイの台商総会の会長に就任してからは、台湾企業と現地コミュニティに熱意をもって貢献している。
劉会長によると、タイ台商総会は「社会から得たものを社会のために用いる」を旨に、タイにおいて慈善活動を続け、台湾人の熱い人助け精神を発揮してきた。タイの台商総会はほかの慈善団体と協力し、毎年バンコクから北部のぺッチャブーン県に出向き、困窮家庭の生徒に奨学金を提供し、2016年には156人の学生が恩恵を受けた。
タイ北部のペッチャブーン県では2002年に大水害が起こり、水田が流失する大災害となった。当時、在タイの台湾企業は現地に赴いて現金と救援物資を支給し、これ以降、タイ台商総会は15年間続けてペッチャブーン県の貧しい家庭の子供に奨学金を提供してきたのである。
長年、国外でビジネスをしてきた劉樹添だが、故郷台湾を忘れたことはない。2016年2月に台湾南部大地震が起こり、多くの死傷者が出て深刻な被害を受けた。タイ台商総会は先頭に立って募金を募り、在タイ台湾人により2週間で1,440万バーツを集め、実際の行動で故郷の人々への関心と思いやりを示した。
劉樹添はまた、会長として青年団の活動を熱心に推進してきた。青年団は将来の台商総会の中堅となる若い力で、台商総会の将来の発展を支えるだろう。彼らが華僑団の活動に参加して代々受け継いでいくことで、タイ台商総会は現地において持続的に運営していけると劉樹添は期待する。
長年の努力の結果、事業は軌道に乗り、劉樹添は会社を専門の経営者に任せ、二人の息子は総経理に従って修業中である。自分は会長職に専念し、余暇には孫の相手を楽しんでいる。
複雑に変化するビジネスの世界を思い起し、50年前の草屯商業高校の鄭秉権校長の教え——「仮説は大胆に、証明は細心に」を肝に銘じて、事業経営の指針、人生の座右の銘としてきた。
来し方を振り返ると、事業における妻の貢献と努力のおかげで、何回も壁を乗り越えてきたと、妻には最も感謝している。挫折しそうになった時に、妻の支えが最も大きな力となり、事業を続けてついには成功を勝ち得ることができた。
将来に対しては、会長である劉樹添は台湾とタイの懸け橋として交流を推進し、政府の新南向政策に貢献し続けたいと考えている。
劉樹添が設立したタイ第一琺瑯工業公司は東南アジア市場に深く根を張っている。
タイ台湾工商聯誼総会は「社会から得たものを社会のために用いる」ことを理念とし、これまで15年にわたり、現地の貧しい学生たちに毎年奨学金を出してきた。
品質第一でイノベーションを追求する劉樹添の製品は、欧米各国に輸出され、顧客から愛されている。
「ASEAN+台湾」協力の備忘録を交わした後の記念撮影。劉樹添(左から2人目)とASEAN貿易振興協会の代表メンバー。