ホーチミンで活動する家扶基金会
家扶基金会は2015年9月から、ホーチミンの児童を対象に正式に活動を開始した。
1950年設立、65年の歴史を持つ家扶基金会は、最近は積極的に海外に進出しており、モンゴル、キルギス、スワジランドに次いで4番目にベトナムに事務所を設けた。
家扶基金会のベトナム代表を務める鍾澤胤さんによると、彼らは台湾と同様、ベトナムでも貧困児童を支援しているが、国情が異なるため、活動の方法は大きく異なるという。
家扶では台湾で、ベトナムの貧しい子供たちの里親を募り、1人毎月700元の寄付で子供たちの就学を支援している。子供が月に得られる16.8米ドルの補助金は、ホーチミンでは一家を支えられる額ではないが、学費は十分に払える。「子供たちへの補助金は大企業からの寄付ではなく、里親になってくれた人々からの少額の寄付なので、大切に使わなければならないとパートナーには話しています」と言う。
2015年末現在、家扶はベトナムで623人の子供を支援しており、まだ70人余りが台湾の里親が見つかるのを待っている。注目したいのは、その中に台湾人とベトナム人の間に生まれた子供もいることだ。台湾人を親に持ち、家扶基金会の支援を受けている子供は10人に満たないが、それぞれに事情があって貧困状態に置かれている。
「貧しさの状況もさまざまです」と鍾澤胤さんは言う。ベトナムの地方では雇用機会が少ないための貧困が多いが、ホーチミン市の場合は、地方から移り住んできた人が多く、一人親や祖父母が孫を養育するという家庭での貧困が多い。「地方から出てきた人々は戸籍がないので、子供は公立学校に入学できないのです」と言う。
貧しい子供1000人分の資料を審査してきた鄧若瑜さんは、貧困の6割以上の原因は、一人親、または子だくさんだと言う。最近多いのは十代の若い夫婦で、高等教育を受けておらず、子育てもできないというので離婚してしまい、一人親になるケースである。
ベトナム政府の規制があり、家扶基金会が現地で活動するにはパートナー(現地のNPOまたは自治体)と協力しなければならない。貧しい子供の就学支援の場合、現地パートナーが子供の資料を集めて家扶基金会に提供し、基金会がその書類の中から条件に合う子供を決めることとなる。
「台湾では、家扶基金会のソーシャルワーカーが子供の状況を理解して、それぞれにふさわしい支援をするのですが、ベトナムではそうした個別のケアができず、間接的な支援しかできません。ソーシャルワークと言うより、慈善活動という感じです」と鍾澤胤さんは言う。
それでも家扶はベトナムに根を張って活動しており、現地で7人のソーシャルワーカーを育成し、彼らを通して支援をしている。
家扶基金会が2014年に取得した運営許可はホーチミン市内だけの活動に限られている。今年は範囲をホーチミンから南へ1~2時間のヴィンロン省を含む地域まで広げる申請をする予定だ。
子供たちの就学支援は家扶基金会の重要な業務であり、それはベトナムでも変わらない。(家扶基金会提供)