科学知識を補填、ネットで社会変革
同じく科学と一般生活との融合を目指すのが、2010年に設立された新興のネット科学メディア「泛科学」である。
「台湾の主要メディアには、一般向けに科学ニュースを紹介するものがないので、泛科学の設立によって、難しそうな科学を誰もが分かる情報に変え、台湾における科学ニュースのギャップを埋めたいと思ったのです」と、泛科学ネット創始者の一人、鄭国威は話す。
1981年生れで、台北大学応用外国語学科、中正大学の電気通信大学院を修了した鄭国威は、台湾は専門の科学ニュースを欠いていて、ネットには誤った情報が満ちていると指摘する。
例えば、ネットには餓死したホッキョクグマの画像がポストされ続けていて、多くのネットユーザーは痩せこけたホッキョクグマを見て、これこそ地球温暖化の犠牲者だと誤解している。しかし、その後、ホッキョクグマが死んだのは自然の老化であると証明されている。
泛科学の設立主旨は遠大だが、このサイトの誕生は実は一つの失敗の産物なのである。2010年に、鄭国威は行政院科学技術顧問チームの生物医療計画プロジェクトに参加した。しかし経験不足と、コミュニケーション不足のために計画は失敗に終わり、その時に実施中だったサイトが泛科学の前身となった。
このサイトが人気を呼んでおり、一般の人々も科学情報を求めていると評価した鄭国威と、創設者の一人の台湾デジタル文化協会の徐挺耀はサイトを残すこととし、これを台湾初の一般向け科学情報サイトに作り替えた。
泛科学編集長の鄭国威(右1)と創設者の徐挺耀(右3)は台湾初の科学を楽しむサイトを立ち上げた。