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陳栄士は「フルーツの里」と呼ばれる台南市楠西区の生まれだ。ここはマンゴーの産地であるとともに、スターフルーツの栽培面積は台湾一、ナツメの栽培面積は台湾第3位を誇る。10年前、彼は美術教師である妻の陳宜茜とともに「陽光果果」を設立した。最初は故郷の果物を販売するのが目的で、ドライフルーツのほかに、楠西産の最高級の新鮮なナツメや愛文マンゴー、玉荷包ライチを日本へ空輸し、さらに宅急便で送付していた。陳栄士は「これほど質の高いフルーツは他の国にはありません」と台南訛りで話す。
「陽光果果」を後にした取材班は、続いてISO 22000とHACCPのダブル認証を取得した「緑蜂食品」の工場を訪れた。工場内のガラスで仕切られた見学ルートを歩くと、フルーツ餡の甘い香りが漂っている。
緑蜂食品の王柏凱‧副総経理は、台湾各地の果物でそれぞれジャムやソースが作られていると語る。例えば宜蘭のキンカンソース、彰化県芬園果物のライチジャム、台南東山の桂圓(乾燥させたリュウガン)入りのケーキ、彰化のオレンジとミカンのジャムサンドなどがある。
王柏凱は、果物の切り方や煮る時間、他の果物との組み合わせなどによって200余りの風味や食感が生み出せると語る。中でもマンゴーやパッションフルーツは世界でも最も人気のある果物で、この二つを使ったフルーツ餡は、ケーキやどら焼きなどに用いられている。フルーツソースはアイスティやサラダに入れたり、豆花やかき氷のシロップにもなる。台湾の愛文マンゴーは、餡やソースにすると他の国のマンゴーに比べても香りが非常に高くて海外でも人気がある。彼らは他の食品メーカーとともに冷凍マンゴーワッフルの生地にしてアメリカに輸出している。
加工することによって、夏の果物を冬に味わうこともできる。陳栄士が言う通り、フレッシュなフルーツは輸送や貯蔵の期間が限られるが、加工すればより遠くへ運べ、保存期間も長くなり、世界中の人に楽しんでもらえるのである。
台湾ならではの土産物パイナップルケーキ。在来種と金鑚パインとでは餡の甘みや酸味も異なる。
フルーツの切り方によって、乾燥させた後の歯ごたえも違ってくる。