人気の歩行器具、住宅、アンチエイジング
台湾を見ると高齢化の進展はこれからだが、敏感な業界は既に手を打っている。
電動カートを生産する必翔工業を例にとると、20年前に開発した世界最初の四輪カートは一台3〜7万元で、操作は簡単で安全性も高い。当初のユーザーは身障者が主だったが、現在では世界の三大ブランドに育ち、ユーザーは高齢者(75%)が中心である。年平均7万台を販売し、輸出比率は9割に上る。
高齢者の多くが電動カートで買い物や近くの友人を訪ねに出かけ、行動の自由を得て健康に元気に生きられる。
高齢者住宅もお年寄り向けの事業として発展している。子供との同居を望まず、退職金で生活に困らない老後を過ごそうというニーズがあり、しかも独居老人が増える傾向にある。国内の潤泰、台塑、奇美などの企業グループは、高級ホテル並みの部屋と食事を謳い、健康管理、医療サービス、カルチャーセンターを併設した高齢者向け住宅の開発に乗り出している。
台塑が2005年に開発した桃園県亀山の養生村を例にとると、敷地34ヘクタールに3700戸が開発される。林口の長庚病院に近く、医療サービスを受け易い。お手頃価格を原則に、14〜22坪のマンションは月額1.8から3.1万元で人気を呼んだ。
もう一つ、成長が見込まれるのが美容医療産業である。
最近、効果の長い注射によるマイクロ整形技術を開発した長虹病院の楊志賢院長によると、お金をかけて若く見せようとする中高年が増えているという。「容貌で気持ちを変えると言いますが、人間関係の改善や地位にふさわしい容貌を望む人など、こういったお客を有閑族と尊重しています」と言う。
これ以外にも、中高年向け事業の開発が進んでいる。警備保障会社はハイテクと警備員派遣サービスを結びつけ、家にいながらにして介護を受けられるサービスシステムを開発した。タクシー会社では高齢者向け配食サービスを、玩具メーカーは高齢者向けの積み木やカードを開発中である。「一般の人は玩具と言うと幼稚なものと見がちですが、考え方を変えれば高齢者団体や介護施設向けの直接ビジネスを考えられます」と、玩具産業組合では話す。
日本製の大型拡大鏡。机の上に置けば楽に読書ができる。