人道とは国際社会が守るべき価値である。中華民國外交部は7年連続で国際NGO「国境共同体(TBC)」に協力し、タイ-ミャンマー国境の難民キャンプにいる4千名以上の児童に給食を供給している。アジア各国で唯一、ここの難民に人道支援をしている国である。
中東は近年戦火が絶えず、人々は家を失い、荒野をさまよう。同じ時、アジアのインドシナ半島でも、難民の哀歌が聞こえる。タイとミャンマーの国境、細長い山脈地帯から聞こえる歌声は、ミャンマー少数民族の半世紀にわたる離散と流浪の物語を運ぶ。
欧州委員会人道援助・市民保護総局(ECHO)の統計によるとミャンマーは2004~2014年の「忘れられた危機」指数が最も高い国である。内戦とタイ-ミャンマー国境に漂流する難民の苦境も危機に含まれる。「帰郷は遠い記憶」国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使としてこの地へ4度目の訪問をしたアンジェリーナ・ジョリーが、難民の声なき痛みを言い表した。

中華人権協会の台北海外和平服務団では幼児教育の教員養成を行ない、難民同士が支え合えるように支援している。
ミャンマーはインドシナ半島で面積最大の国である。人口は5100万人、複数の民族からなる。ビルマ族が人口の7割を占め、他に大別して7、8の少数民族がいるが、シャン族、カレン族が多く、それぞれ人口の9%と7%を占める。
1962年の軍人ネ・ウィンによるビルマ統治以降、軍事政権と少数民族との間で内戦が繰り返された。特にカレン族反政府軍との衝突が激しく、カレン族は近隣国へ逃れた。タイ政府は1984年から国境の山地にミャンマー難民キャンプを設置し始めた。1995年には軍事政権が反政府軍「カレン民族同盟」の大本営を攻め落とすと、十数万人のカレン族が離れてタイに流入した。20年間、難民の流れは止らず、今ではタイのミャンマー難民キャンプは9箇所に増えた。難民は15万人に迫ったこともある。その9割以上がカレン族だ。キャンプへの出入りはタイ軍に制限され、難民は自由を制約され、働く権利もない。
難民キャンプ9箇所のうち、ミャンマーからわずか8kmのメラ・キャンプは、アジア最大の難民キャンプである。2平方キロの敷地に5万人が収容され、衣食住から生老病死まで、閉鎖された環境の中で進行する。時間が長引くことで、食糧・医療・公衆衛生が問題になっている。
キャンプ設置当初、国際ボランティア団体が共同でキリスト教協議会(CCA)即ち国境共同体(TBC)の前身を組織し、率先して人道支援に取り組んだ。UNHCRは1997年から介入している。
TBC理事会は米・英、オランダ、スイス、デンマーク、豪など欧米8カ国の教会と慈善団体10組織で構成され、本部をバンコクに置く。タイ-ミャンマー国境のメーソット、メーサリアン等5つの町に事務所を設け、第一線で難民を支援する拠点としている。

タイとミャンマーの国境地帯の難民キャンプへは食糧が支給されているが、副食品は限られており、子供たちは十分な栄養を摂取できていない。
「中華人権協会」が属する台北海外平和奉仕団(TOPS)は、台湾で最初にタイ-ミャンマー国境に駐留した難民支援の非政府組織である。1996年にワークグループを派遣して以来、難民キャンプで児童教育と難民の貧困離脱支援に取り組んできた。人道に国境はない。人道支援も官民の別はないはずである。カレン族キャンプでのTOPSの取り組みが、間接的に我が国政府のリソース投入を促し、TBCと力を合わせてカレン族難民の生活改善を助けている。
外交部は2009年から援助金を拠出し、TBCがまとめ、TOPSが3~5歳の就学前児童の給食計画を実施している。三者間の協力は今年7年目に入った。計画は2年を1期とし、我が国の援助金は第1期の10万米ドルから、第4期の現在は20万米ドルに増えた。支援対象の難民キャンプも3箇所から4箇所になった(メラ、ヌポ、ウンピアムと今年追加されたバンドンヤン)。支援を受ける子供も3500人から4000人に増えた。TBCによると、我が国の給食支援対象は、難民キャンプ9箇所の全未就学児童7900人の半数を超えている。
TOPSはタイ-ミャンマー国境でビルマ語・カレン語・タイ語・英語を教えるシード教師を育成してきた。こうした教師や熱心な保護者が食材を買って料理している。おかげで難民キャンプの幼児は週5日、1食5タイバーツ(約5元)の給食が食べられる。TBCの統計では、難民キャンプ4箇所で年間計12万米ドルの給食予算が必要である。その9割以上を我が国の年間援助金に頼る。
外交部の非政府組織国際事務会執行長・牟華瑋は、難民キャンプは食糧が配給制で、各世帯に充分な量が行き渡らない上に、多くが高齢者を抱えており、未就学児童は栄養失調の恐れがあるという。そこで幼稚園の給食計画が子供の発育に非常に重要になる。外交部は計画を長期間サポートし、TBC各支援国から高い評価を得ている。
TBCは幼児・児童の給食計画において我が国と協力するほか、米・豪・カナダ、欧州連合など欧米諸国や大洋州の先進国の援助を得て、食糧・教育・医療衛生等の人道支援を行っている。我が国はアジアで最初にタイ-ミャンマー国境難民に援助の手を差し伸べた国である。

難民キャンプの子供たちにも、教育を受ける権利がある。
国際NPO、グローバル・ヒューマニタリアン・アシスタンス(GHA)は経済協力開発機構(OECD)傘下の開発援助委員会(DAC)と国連管轄機関の統計に基づき『グローバル人道支援レポート2014』を発表した。2013年には世界で220億米ドルが人道支援に注がれ、過去最高額を記録した。64億米ドルは各国政府から、56億米ドルは民間団体から出ている。多くの国とNGOが、人道支援を果たすべき国際的義務と見ていることを示している。
レポートによると、2013年の人道支援が10億米ドルを超える国は米・英・トルコ・日本で、4カ国の拠出額計92億6100万米ドルは政府援助全体の42%を占める。但し援助金が国民総所得(GNI)に占める割合は上位からトルコ、クウェート、ルクセンブルクである。トルコ政府は国民総所得1000米ドル当たり2.1ドルを国際人道支援に充てており、2013年世界で最も寛大な国と評価された。
レポートは歴年の大規模被支援国も列記する。日本は2011年に5億6600万米ドルの援助を受けて世界6大被支援国に入った。他は中東・アフリカ・中南米・東南アジアなど戦乱や災害頻発地域が多い。ミャンマーは2012年に1億3000万米ドルの国際人道援助を受け、金額で世界20位に入っている。1位のシリアが受けた15億3600万米ドルは、2位のスーダンと3位のヨルダン川西岸とガザ地区の被援助額の合計に匹敵する。
国連によると、2013年の世界難民数は1670万人に達し、各国の援助を必要としている。これについて牟華瑋は、難民援助は我が国外交部の現在と将来に向けた重要な方向だという。タイ-ミャンマー国境のほか、中東も長期間の戦乱で難民キャンプの規模が拡大し、シリア難民は数百万に達している。我が国政府と民間団体による継続的な難民救援は、米国も評価している。
我が国はこれまでイラク北部難民キャンプの仮設住宅、パレスチナ難民への車椅子提供、ヨルダン難民の医療改善を推進し、国際NPOとの協力でシリアで難民青年ケアプログラムを進め、ヨルダンとシリア国内の難民に白米を提供している。
我が国の大規模民間団体である慈済やワールド・ビジョンもそれぞれトルコ、ヨルダン、レバノン、シリア等を支援し、難民と貧困層の生活改善に尽力している。我が国の赤十字もシリア難民のための募金活動を行っている。
TBCに招かれ、牟華瑋は昨年11月、タイ-ミャンマー国境難民キャンプ援助国総会に出席し、最も僻地にあるメラウ・キャンプとメラマウン・キャンプを訪れ、難民生活の厳しさに触れた。山間部では物資欠乏と交通網の不足から、救援の重要性が際立つ。台湾の人道支援の足跡があるところには、国際社会からの評価がついてくる。外交部は引き続きNGOと連携し、台湾の人々の愛を世界の必要とされるところへ送り届けるという。
台湾は国際社会で様々な課題に直面しているからこそ、他者を思いやる気持ちを持ち続けることがいっそう大切である。地域の平和の契機は、タイ-ミャンマー国境難民の哀歌に耳を傾けることから始まるのかもしれない。

外交部NGO国際事務会の牟華瑋・執行長は昨年、タイ-ミャンマー国境地帯の難民キャンプを訪れ、困難な生活状況をその目で見てきた。