集中的に海洋生態系を再生修復
澎湖県農漁局はサンゴ礁生態系を再生するために、2008年から毎年定期的に造礁のためのサンゴ移植ブロックを50個投入してきた。だが、その成果はどうなのだろうか。2016年、澎湖県に属する水産種苗繁殖場が調査したところ、多くのブロックは海流に流され、欠片しか残っていないものもあった。唯一、南西からの季節風の影響を受けない風櫃蛇頭山だけは、ブロックにサンゴ礁が形成されていたが、魚群は見られなかった。
そこで当時、水産種苗繁殖場で事務を担当していた柯志鴻が、陳銓汶・場長の指示を受けて対応策を練ることとなった。
サンゴ移植ブロックが海流に流されてしまう問題を解決するために、彼は三角形のブロックを階段状に組み合わせて安定性を高めた。そして、サンゴ生存率の最も高い杭湾を選び、2018年から4年にわたって、バスケットボールのコートほどの336平米の面積に556個の三角ブロックを投下して造礁を促し、こうして人工サンゴ海洋花園が生まれたのである。
しかし、サンゴの苗を育てるのは容易ではなく、無数の失敗を繰り返した。温度や照度を調整しても死んでしまうため、専門書やネットで資料を探し、水温が高すぎることを突き止めた。またサンゴは粘液を分泌するため、雑海藻を取り除かなければ窒息してしまうことも分かった。
そして2019年、柯志鴻はサンゴ育苗桶を開発した。海の生態系を再現し、桶の底から汚水を排出できるようにし、微細な藻類を食べるバフンウニやニシキウズガイを入れ、サンゴ石も加えて水質を浄化した。こうして原価1万元に満たないサンゴ桶を用いてナンヨウミドリイシやハイスギミドリイシを育てることに成功したのである。
柯志鴻は技術的な壁を突破して、房状に透明な粒がたくさんついたウミブドウの養殖に成功した。(林旻萱撮影)