イノベーションとコミュニケーション
台湾電力の変電所の多くは、地域の都市計画に組み込まれ、空間を市民と共有している。しかし、今回の電幻1号所は台湾電力が新しく建てた新民ビルの中にある。ビルは21階建てで、2階から6階は駐車場、6階以上がオフィス、地下の4層は一次変電所となっており、新板特区と周辺の住宅の電力使用に供している。ここでは学校や慈善団体と協力して多くの人が利益を得られるようフィードバックしており、台湾電力の革新的な転換モデルの一つと位置付けられている。
「一般市民の考えが変わることは、サステナビリティにおいて非常に重要なことです。ですから台湾電力は社会との対話の機会を設ける努力をしています」と袁梅玲は言う。電幻1号所はその中でも優れた役割を果たしている。例えば、今年は教育部国民教育署の多数の専門教員と、台湾最大のイノベーション教育団体「雑学校」と協力し、グリーンエネルギー教育のための全く新しい教具3セットを開発した。これを用いて全台湾の小学校、中学校、高校、大学、さらには一般市民を対象とした教育を実施していく。また、板橋高校や新板特区学校、そして自治体が設立した「D.T.連盟」とともに、ライフテクノロジーのカリキュラムを推進し、また新北市ライフテクノロジー教育の特色を出していく。このほかに、2020年に教育部が初めて開催した「台湾科学フェスティバル」において、電幻1号所は「十大科学普及基地」の一つにも選ばれた。また、雑誌「科学少年」と協同で、青少年に手製の風速計を作らせるイベント「風を捕える計器」を開催したり、また賽先生科学工場と協同で、「ウォードの箱」を作る「電気の植物園」を開催するなど、科学知識と手作業を結び付けた数々のイベントを開催している。これらが評価され、「遠見雑誌」による2021年第17回「企業の社会的責任賞·教育推進部門」のトップに選ばれた。
電幻1号所は台湾初の再生エネルギーをテーマとした展示館であり、台湾電力の初めての場所のブランドでもある。展示館の計画当初は卡爾吉特公司(Cogitoimage)に統括とキュレーションデザインを依頼し、交通大学建築学研究所の龔書章教授や台湾デザインセンター(現在の台湾デザイン研究院)の張光民CEOなど、多くのデザイナーやマルチメディア専門家と協力した。この展示館は世界的にも注目され、2020年にドイツのレッド·ドット·デザイン賞、同年のアメリカ博物館協会によるOnsite Digital Experience MUSE Award、2021年にはアメリカのInternational Awards Associate(IAA)によるMUSE Design Awardなどを受賞している。こうして各界から高く評価されたことで、台湾電力は今後、2号所、3号所の設置を目指すこととなった。
「台湾電力は、このブランドが将来的に全台湾のグリーンエネルギー教育センターとなることを期待しています。緑の思潮やエネルギー転換の概念を取り入れ、台湾のサステナブルな未来を切り開いていきます」と袁梅玲は語る。現在は、ここが、市民が休日に来たいと思うレジャーの場となり、ともにエネルギーの実験と電力ライフの美学を探求し、クリエイティビティとグリーンエネルギーテクノロジーが融合する世界を感じ取ってほしいと願っている。
ENERGYMでは、体を動かしたエネルギーが電力へと転換される様子を目にすることができる。(台湾電力電幻1号所提供)
1階にあるPOWERLABでは、エネルギーを創作のテーマとした世界を体験できる。
VR 6軸ロボットに乗れば、バーチャルな世界を飛ぶことができる。
「電幻1号所」が独自に開発した商品や教具。品質は高く、クリエイティブで人気がある。
台湾電力は、多くの人が電幻1号所に来場して、クリエイティビティとグリーンエネルギーの魅力を感じてほしいと願っている。