そこで、趙嘉協・村長は退職後、南寮地域の改造に立ち上がった。コミュニティ・プランナーに依頼して一緒に南寮村改造のための方策を練ったのである。例えば、村の空地をフェイスブックのチェックイン・スポットにした。これは2014年、アフリカからの交換ボランティアの発想である。また、村民たちは使われなくなった浮き球や絵画で村を飾っている。
「今ここに残っているのはお年寄りばかりです。南寮を澎湖で最も特色ある地域にして、生活できる条件が整わなければ若者に残ってもらうことができません」と村長は話す。そこで彼は4年をかけて環境を改善し、南寮らしい昔ながらの文化的景観を再生してきた。魚灶というのは、南寮でかつて魚の練り製品を作っていた場所で、そこを修復して観光客に漁村の暮らしを体験してもらっている。牛糞窟は物を無駄にしない南寮文化の特色で、牛糞を練って日に干し、燃料にする。
夕方、村長は箒を手に地域を清掃し、奥さんは自転車に乗って海岸へ貝を拾いに行く。南寮住民のシンプルな暮らしと強さと創意が地域の特色を生み出している。
澎湖の南寮地域を訪れると、まず小さな公園が目に入る。これは、アフリカとの交換ボランティアのアイディアで、荒地だったところがフェイスブックのチェックイン・スポットとなった。
歳月が刻まれた歴史ある家屋が、古き良き時代の物語を語りかけてくる。
2枚のタオルで顔を覆う。日差しの強い澎湖での日焼け防止の知恵である。
澎湖は風が強い。南寮村でも民家の向こうに風力発電機が見える。
南寮の農村文化復興に力を注ぐ趙嘉協・村長が、観光客に牛糞を利用した燃料作りの歴史を説明する。
休日になると、ここに小さなファーマーズ・マーケットが立つ。コミュニティ・プランナーが壁に描いた絵が、農村再生の活力を示している。
のんびりと横たわる犬。ここでは時間がゆっくり流れていく。
南寮村では古い家屋がよく保存されており、観光客が見学できるよう、少しずつ修復が進められている。
今は廃墟となった家屋。かつての華やぎは、壁に残された痕跡から想像するしかない。
澎湖の人々は大地とその恵みを大切にして暮らしてきた。南寮は町づくりのモデルとされている。