「心」でおもてなし
環境づくりに加え、台湾の最も美しい「人情味」こそ欠かせない。台湾観光局クアラルンプール事務所主任の巫宗霖はアイディアをたくさん抱えている。
コーランにムスリムは孤児と寡婦の面倒を見ると書かれていることにヒントを得て、巫宗霖は2013年にムスリムの貧困児童と孤児20名を台湾旅行に招き、台湾の友好的なイメージを示した。それは国民外交としての成功にとどまらず、マレーシア国営テレビ9チャンネルも随行取材して番組を制作したため、台湾旅行が初めてムスリムチャンネルで放送されることになった。
2016年には、巫宗霖は著名イスラム教指導者アブドゥラ・マフムード師を訪ね、ムスリムが植物や自然を愛し、家庭を大切にすることを知り、台湾で盛んな観光農場、テーマパーク、DIYなどの活動と結びつけて観光振興に着手した。巫宗霖はマフムード師を台湾に招き、ムスリムを迎える台湾の努力を見せた。師は非ムスリム国の台湾のホスピタリティに驚き、賞賛した。
さらに、巫宗霖はメディア対象のファムツアーを実施し、台湾のムスリムフレンドリー環境推進の宣伝を狙った。マレーシアのタレントMariaと著名番組司会者Raifaもツアーに参加していた。Mariaのインスタグラムは7万人がフォローしている。Mariaが台湾を歩き、食・温泉・故宮を紹介する映像は、ソーシャルメディアの力で、台湾の魅力を宣伝することとなった。
巫宗霖にはまだまだアイディアがある。「近頃マレーシア東部によく行きますが、現地の人々は台湾の先住民と似たところがとても多いのです。きっと同じマレー・ポリネシア系なんでしょう」新大陸を発見したかのように興奮気味である。「台湾先住民文化もマレーシアで台湾観光を推進する切り口の一つになるでしょう」
最近5年間で、来台マレーシア人は2011年の延べ30万人から2016年には47万人に増えた。5割以上の成長である。マレーシア華僑だけでなく、ムスリムの観光客も顕著に増加している。
マスターカードとクレセントレーティング社が発表した「2015年世界ムスリム旅行指数(GMTI)」では、台湾は非イスラム協力機構の中で10位だった。2016年には3位上昇して7位にランクインしている。巫宗霖はきっぱりと言った。「来年はもっとランクが上がるはずです」
牧人企業の製品は世界30カ国余りで販売されている。鄭桂明はグローバル市場において最も重要なのはローカリゼーションだと語る。