世界のために
Bコープは「ガバナンス」「従業員」「環境」「コミュニティ」「顧客」という5つの面を考慮しなければならず、それぞれの評価に目標となる数値が示されている。これはCSR(企業の社会的責任)や国連が提唱するESG(環境‧社会‧ガバナンス)とSDGs(持続可能な開発目標)、それに2009年にイギリスが推進し始めたSROI(社会的投資収益率)などに似ている。
B Labでは昨年から、Bコープの「Best for the World」賞を授与する対象を、評価の上位10%から5%に変更した。Bコープの中には大企業も少なくないが、緑藤は世界4400社の中で5年連続してBest for the World賞を受賞している。
「Bコープが競うのは規模ではありません。そのビジネスモデルと利益が『世界にどのような影響を及ぼすか』『どこが良いのか』なのです」と孫詩喬は言う。緑藤の創業者である鄭涵睿と廖怡雯、許偉哲は台湾大学財政金融学科の同級生で、卒業後はそれぞれ金融業界で活躍していた。だがある日、別々の道を歩んでいた3人は同じ決意をする。「彼らは、この選択を後に『オプションB』と名付けました」と孫詩喬は言う。なぜ「クリーン‧スキンケア」を選んだのかというと「現代人の大部分は毎朝晩スキンケア用品を使います。そこで『影響力』を発揮するために、ここから始めることにしたのです」と説明する。
金融のプロである創業者たちは、「富」の重要性と影響力を熟知しているが、富を何に使うのが良いかは「人の選択」にかかっている。緑藤はこの11年、常に「なぜそうするのか」「なぜそうしないのか」を自らに問いかけ、それによって方向を調整し、一歩ずつ環境に貢献してきた。まさにBコープへの道を歩んできたと言え、2015年、同社は台湾で3社目の認定Bコープとなった。
緑藤生機を創設した3人。左から許偉哲、廖怡雯、鄭涵睿。(緑藤生機提供)