第38回ICAO総会は9月からカナダのモントリオールで開催される。この総会で、我が国のオブザーバー資格が認められれば、2009年の世界保健機関(WHO)総会へのオブザーバー参加に続く、外交上の大きな進展となる。
米国国会は7月上旬、ICAOへの台湾のオブザーバー参加を支持する第1151法案を採択し、オバマ大統領が署名した後、声明を発表した。それによると、米国は3年に一度開催されるICAO総会で台湾の参加を支持し、国家を会員資格としない国際機関において台湾が会員資格を取得することを全面的に支持するとしている。
「空の安全」の漏れをなくす
ICAO国際民間航空機関は1944年に52ヶ国が国際民間航空条約に署名して発足した。中華民国は発足当初の加盟国だったが、1971年に国連を脱退し、会員資格は中国大陸に取って代わられた。
ICAOの規定では、非国連加盟国が加盟、またはオブザーバーになる場合は締約国の5分の4の賛同が必要である。米国は我が国のオブザーバー参加を支持しており、中国大陸の態度が成否の鍵を握る。
ICAOは、国際民間航空の原則と技術を開発・制定することを目的とするが、我が国は加盟国ではないため、ICAOが定めた新たな基準や作業標準に関する情報がすぐに通知されず、それが航空管理の漏れとなる可能性がある。
我が国の沈啓・交通部民航局長は次のような例を挙げる。昨年ICAOは台湾を通過する国際航路の名称を変更し、同航路を利用する航空機はGPSを装備していなければならないとしたが、台湾はこれを知らされず、そのために一時手作業で対応しなければならなかった。
沈啓によると、台湾が管轄する台北飛行情報区の範囲は18万平方マイルにわたり、福岡、マニラ、香港、上海の四つの飛行情報区に隣接、年間4000万人にサービスを提供しており、東アジア航空輸送網に重要な位置を占めている。空の安全を考慮すれば、台湾がICAOから排除されるべきではない。
航空安全情報の迅速な取得
現在、内外の航空会社50数社が台湾と海外の110都市を結んでおり、国際線の年間旅客数は3000万人に上る。また2008年8月31日からは台湾海峡両岸を結ぶ定期便が就航し、ここを往来する旅客・貨物便は4700便に上る。台湾はアジア太平洋地域の空の交通において重要な位置を占める。
昨年9月のウラジオストクAPECにおいて、我が国を代表して首脳会議に出席した連戦・元副総統は、当時の胡錦濤・中国大陸国家主席と会談した際、台湾のICAO参加への支持について言及し、胡錦濤・主席は台湾が「適切な方式」でICAO活動に参加できるよう大陸側は真剣に検討すると述べた。
8月中旬、馬英九総統は中南米の友好国を訪問した際にこのテーマについて質問を受け、政府はさまざまなルートを通じて各界と意思の疎通を図り、その中には中国大陸も含まれると語った。
ICAOは現在、各種の航空安全情報を統合して共有するための「グローバル安全情報交換」システムを積極的に推進している。国際航空安全網に漏れがあれば、テロ攻撃などの対象となるおそれがある。台湾はICAOによる安全情報の提供を必要としており、世界の旅客の生命と財産の安全を国際社会とともに保障したいと考えているのである。