医療支援の新たな方向
亜東病院では、ベリーズ第二の大型病院と協力し、医療スタッフのシード教師育成を行なっている。台湾で訓練を受けた彼らがベリーズに帰国して、公衆衛生スタッフの訓練を行なうというものだ。また、情報技術者を対象に、台湾でバーチャル・スタジオ・システムを学んでもらい、症例の追跡と管理に役立てている。
Yumさんは、台湾で新たなプログラム言語とデータバンク管理の方法を学んでいる。「本当に勉強になります。自分の力が向上しただけでなく、国の健康ケアシステムを大きく変えることができ、カリブ海の他の国々にも普及させることができると考えています」とYumさんは言う。
彭渝森医師は2018年5月、スイスでの第71回WHO年次総会(WHA)に合わせて開かれた会議において、このプロジェクト推進の成果を発表し、世界の公衆衛生医療援助における台湾の取り組みと成果を披露した。
「このプロジェクトは援助ではなく、協力だと考えています。ベリーズの官僚と交流する中で、彼らが本当に何とかしたいと考えていることが分かります。彼らは器材の寄付を求めることはなく、亜東病院の計画を全力でサポートし、全面的にベリーズの一般市民に普及させようとしています」と彭渝森医師は言う。台湾は政治的な要因でWTOには加盟できないが、WTOの精神である「世界のすべての人の健康」という目標を実現しようとしているのである。
ICDF副秘書長の李栢浡によると、台湾は過去の無料診療といった方法から、しだいに公衆衛生医療援助へと方向転換している。それと同時に、国連の持続可能な開発目標に従い、医療および情報産業における台湾の優位性を活かして、援助対象国が長期的に医療ソフト設備を整備し人材を育成できるよう協力している。無料診療がなくなっても、台湾が育成した医療スタッフが継続的に行なっていくことができる。

エスワティニのSimelane衛生相(中央)が嘉義キリスト教病院から贈られた機器を自ら体験する様子。(ICDF提供)