以前、原住民の友人から言われたことがある。「原住民集落では至る所に知恵があり、あなたにとっては子供も先生になるかもしれない」と。集落に「学ぶ」というのは、かつての人類学者の「研究」とはまったく違う考え方だ。もはや集落は、分類され分析される研究対象ではなく、平等な存在であり、双方がともに参加し、分かち合う動態的なプロセスである。そして集落という活きた教室に実際に足を踏み入れ、実地に自ら体験することで原住民族のさまざまな知恵に触れられ、それが自然に頭に刻み込まれる。
今年(2020年)8月、「光華」と台湾アジア交流基金会、国立政治大学東南アジア研究センターが共同で、座談会「集落から世界へ——原住民族の映像‧音楽再発見」を開催した。会場には初めて台東美術館をお借りし、オーストロネシア系諸族の文化を研究する専門家や文化人が一堂に会した。1泊2日にわたってオーストロネシア文化に関して議論するとともに、原住民アーティストには東南アジアや太平洋諸国との交流の経験をお話しいただいた。
「光華」は長年にわたって原住民族に関するテーマを扱ってきた。早くも1983年6月号には「青山緑水間、歌声好悠揚——信義郷」という記事があり、信義郷の原住民族の暮らしを紹介している。1993年12月号は「回到部落VS.愛在他郷」と題するカバーストーリーで、新北市汐止の樟樹湾にある「山光地域」に暮らすアミ族の暮らしを取り上げた。原住民族をめぐるテーマは、エスニックの起源、歳時や祭儀、経済と生産、芸術文化、社会運動など豊富かつ多様で、これらの報道を通して読者は原住民文化の素晴らしさに触れることができる。「光華」今月号のカバーストーリーでは、原住民族の音楽や演劇、工芸、建築の伝統とイノベーション、そして生活の知恵の継承を取り上げる。原住民族の芸術の美は、人と人、エスニックとエスニックの距離を縮めてくれるものだ。
今月号の「台湾をめぐる」シリーズでは、自転車で恒春、墾丁、鵞鑾鼻、阿朗壱古道をめぐり、またかつてローズウッドの伝統家具の生産地として知られていた桃園大渓を訪ねる。また、昨今注目のポッドキャストに関する記事もある。著名なプロデューサーやメディア関係者に台湾におけるポッドキャストの発展や番組作りの秘訣などをうかがう。そして、今年も「唐奨」の受賞者が発表された。どのような世界貢献が注目されたのかお読みいただきたい。また、移民署による「新住民および子女ドリームプログラム」から、どのような物語が生まれたのか、これらも今月の「光華」でぜひお読みいただきたい。