若い労働者の代弁者
1990年代の労働運動の努力によって、我が国の労働法規は少しずつ整備されてきた。以前のように、予告のない大規模な工場閉鎖や、高齢労働者の不当解雇といった状況は改善されたが、今も一部の企業は意識的かどうかに拘わらず、労働者の搾取を続けている。
現在も「青年九五」には1日平均2〜3件の訴えの手紙が届く。よく見られるのは、雇用主が労働保険や健康保険に加入させない、規定通りの給与や残業代を払わない、法定最低賃金に満たない、給与から先に天引きする、あるいは巨額の「退職違約金」の支払いを求めるといったものだ。彼らの対応方法は、まず状況の軽重にしたがって、法律相談に乗り、内容証明の書簡を雇用主に送る手助けをしたり、自治体の労働局に労資調停を申請したりし、調停に同席するといったものだ。
同様の被害がその職場で普遍的に見られる場合は、さらに被害者とともに記者会見を開き、問題の露出度を高めて処理を加速させる。例えば、彼らは著名なコーヒーショップ・チェーンの「85℃」の多くの加盟店が労働基準法に違反していることを幾度も告発し、同社に大きな圧力をかけた。
2年余りにわたり、「青年九五」は少なくとも116人の案件をサポートし、200万台湾ドルを超える未払い給与や保険料を勝ち取ってきた。この他に、間接的に恩恵を受けた人数(例えば、労働局が労働基準法に違反したA社を罰した場合、提訴者だけでなく、被害を受けた他の社員も同様の賠償を受けられる)は数え切れず、非常に大きな成果を上げている。
各界から高く評価されている「青年九五」だが、これら若者たちの努力は想像を越えたものだ。メンバーの大半は、労働学や社会学の大学院や経済学部の学生で、普段は授業や課題にかなり忙しい上に、労働法規を学び、被害者と面会して話し合い、幾度もの労資調停に参加し、時には法廷にも付き添う。一つの事例の解決までには短くても1ヶ月、長ければ半年の時間がかかる。「だから皆、院三や大五になっても卒業できないんです」と「九五」の胡孟瑀;はおもしろそうに言う。
パート、派遣、実習……。若者が安定した仕事に就くのが難しくなり、世界的に「青年の貧困化」が問題となる中、「青年九五」もこの課題に関心を寄せている。