日帰りバードウォッチングツアー
午前5時半、鳥類外国語ガイドの洪貫捷は、カナダから来たロビンさんとポーラさん夫妻をホテルに迎えに行った。夫妻はビジネスで台湾を訪れた合間に、日帰りのバードウォッチングツアーを予約したのである。目的地は大雪山エリア、目標は台湾固有種を見ることだ。
車が大雪山の林道に入ると、洪貫捷は車の窓を開けて鳥の声に耳を傾け、目当ての鳥の声を確認すると一行は車を降りる。徒歩でわずかな距離を歩き、林道の4キロ地点にある木浪渓の側へ来ると、洪貫捷は鳥の声をたよりに、その鳥の習性を判断し、すぐにその姿を見つける。そして望遠鏡を向ければ、鳥を観賞できるのである。
洪貫捷は高みを指差す。小さい身体で天下を見下ろすように梢にとまっている鳥もいれば、葉蔭に隠れて姿を見せようとしない鳥もいる。この場所で私たちは、シロガシラ、クロエリヒタキを含む24種の鳥と出会い、ミナミメジロの群れと、幸運にも固有種のヒメマルハシを目にすることもできた。
さらに車で11キロ地点まで進むとベニサンショウクイの姿が見え、15キロ地点ではヤマガラ、19キロ地点ではバードウォッチャーからドラえもんの愛称で呼ばれるズアカエナガにも出会うことができた。さらに標高の高い地点では、サンケイのつがい、ミミジロチメドリ、タイワンノドジロガビチョウを見ることもできた。
目にした鳥によって、洪貫捷は特別な説明を加える。例えばメジロチメドリはブヌンの人々の間ではSiliqと呼ばれ、ブヌン文化では占いの鳥とされる。また標高の低いところでもよく見られるクロヒヨドリは台湾の固有亜種で、ブヌンの伝説では火を運んでくるとされる。
47キロ地点ではニイタカキクイタダキ、50キロ地点ではヒガラと、藪の中にかくれてなかなか姿を見せないムシクイの仲間にも出会えた。その後は雨が強くなり、空も暗くなったが、チャバラオオルリに姿を確認でき、この日の素晴らしい締めくくりとなった。
バードウォッチングは台湾の大自然との出会いでもある。