農協ゴマ油の人気
中国語で胡麻、芝麻、油麻、烏麻などと書くゴマは東インドが原産だ。白ゴマと黒ゴマの2種あるが、白ゴマから搾った油は一般に「香油」、黒ゴマから搾った油は「麻油」と呼ばれる。
現在、台湾の白ゴマはすべて輸入品で、台湾産の黒ゴマの生産量も需要に全く追いつかない。
台南区農業改良場朴子分場の分場長である游添栄によれば、台湾のゴマ栽培面積は1961年には8845ヘクタール、年生産高4501トンに達していたが、やがて生産コストの高まりや転作する農家の増加などで栽培面積は減少、現在はわずか831ヘクタールしかない。
食糧自給率を高めようと、2012年からは休耕制度の見直しが図られ、輸入に頼る作物の栽培が奨励されるようになった。ゴマはそんな作物の一つだった。
台南は、台湾最大のゴマの産地で、台南市農業局の統計によれば、台南市善化、西港、安定の3地域を合計したゴマ栽培面積は709ヘクタール、年生産高は553トンに及び、台湾全体の生産高の約85%を占める。
曽文渓に沿った安定は、善化や安南に比べて土壌が肥えており、古くから台湾の主要なゴマの産地だった。
安定区農協の総幹事である王宝民によれば、政府による呼び掛けで、ここ数年、安定区のゴマ栽培面積は200ヘクタール余りに増えた。今年には、農協でゴマ秋作に登録した農家はすでに100人を超え、契約面積は約30ヘクタール、総生産高は約29トンに達すると見込まれる。
農協のゴマ油は、原料原産地、生産地ともに国内なので品質管理がしっかりと行われていることから、消費者の信頼を得ている。
王宝民は、輸入ゴマと台湾産ゴマの価格差は3倍もあるが、お金がよりかかっても消費者は台湾産を買いたがるし、ゴマ油も同じで、ここ2年は売り切れになるほどだと言う。
ゴマの重要な産地である台南市安定区で、農家は収穫したゴマを庭に広げて天日に干す。(台南安定区農協提供)