少子高齢化に対応するため、行政院は2019年を「地方創生元年」と定めた。町づくりや文化クリエイティブ産業、地場産業などを合わせて、地方経済の振興を図る。
今月の「光華」は、台湾各地の町や村を訪れてその状況をご紹介する。——台湾における「コリビング」から共生への流れ。地方から声を上げ、農業や芸術、旅行などの各分野を統合して地方と都市の交流を目指す「食通信(食べる通信)」。そして地場産業を再興し、若者のUターンを促し、その創生エネルギーを海外へも輸出する竹山鎮の事例などである。
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台湾で最も美しい風景は、各地で見られる社会のための自発的な行ないであろう。「還我特色公園行動聯盟(特色ある公園のための行動聯盟)」の母親たちは、SNSを通した動員や陳情、呼びかけなどを通して公的部門に働きかけ、公園の遊具施設計画に参画するようになった。こうして3年余りの間に100近い特色ある公園ができ、台湾の公園遊具を変えてきたのである。「スーパードクター」と呼ばれる徐超斌は、まさにスーパーマンのように台東県の僻遠地域を診療に駆け回る。一週間の走行距離は台湾一周に近い1173キロに迫り、昼も夜もなく南廻地方に暮らす人々の健康を守っている。
離島の澎湖で海洋ごみをアート作品に変える「O2 Lab海漂実験室」と台湾の海岸線でのビーチクリーン活動を続ける「RE-THINK」も忘れてはならない。また、地域文化と融合する屏風県万金の聖母マリアの巡行は、2012年に「民俗及び文物関連」の文化財に指定されたほか、2018年には近隣の道教の宗天宮と合同で「東方聖母が西方聖母に会う」を催し、台湾社会の多様性と寛容性を際立たせた。
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インドの叙事詩「ラーマーヤナ」でラーマ王子とともに十魔王を征伐し、王女救出に向かった猿の神ハヌマーンは、東南アジアでは誰もが知っている英雄である。西遊記の孫悟空や、さらには日本の桃太郎に出てくる猿もハヌマーンが原型だとする説さえある。今月号は、このハヌマーンをマスコットとする故宮南院の児童創意センターを訪ねる。ここでは子供たちが青磁の花瓶やインドネシアの織物、ベトナムの衣食住など、アジア各地の文化に触れることができる。
このほかに孔子第七十七代目の嫡系子孫、孔徳成氏の生涯と、その百年記念イベントもご紹介する。
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「光華」の報道とともに、台湾の文化の旅をお楽しみいただき、視野を広げていただければ幸いです。皆様のご声援を得て、今後も台湾の美をお届けしてまいります。