日本人の働く姿勢に学ぶ
ワーキングホリデービザが取れるようになったばかりの日本は、オーストラリアやニュージーランドより都市化が進んでいるので、仕事も豊富である。日本に7年間留学していた「阿日王」は、東京で出版社の企画、コンビニの店員、夜間の交通整理、ガソリンスタンドの店員など、さまざまな短期アルバイトをした。
日本では、財団法人ワーキング・ホリデー協会を通して求人情報が得られる。また阿日王によると、大きな駅などには周辺地域の求人情報を掲載したフリーペーパーも置いてあるので、仕事を探すのは難しくない。
ただ阿日王は、日本へのワーキングホリデーを考えている人は「まず日本で働く目的を考えるべきです」と言う。
短期間で少しでも多く旅費を稼ぐのが目的なら、男子は深夜のバイトをすれば時給が高い。例えば、阿日王が六本木のガソリンスタンドで深夜のバイトをした時には時給は3000円(1100台湾ドル)に達し、しかも有名な女優の松たか子にも会えたそうだ。逆に、ゆっくりと日本の生活を味わいたいというのなら、景勝地などでバイトを探すのもいいだろう。
スキーが好きな人は、冬にスキー場でバイトをすれば、お金も稼げるし、ただでスキーもできる。
東呉大学日本語学科の羅済立准教授は、九州大学で大学院に通っている時、航空会社で「出迎えサービス」の短期アルバイトをした。彼は、ワーキングホリデーで日本に行くなら、その機会に日本人の職場での礼儀や対応方法、仕事への真面目な態度などを学んでみてはどうかとアドバイスする。
例えば彼は、会社から「個人旅行のお客にはハウステンボスへ電車で行く方法を必ず教えるように」と言われていたのに、面倒で教えなかったことがある。その結果、その旅行者は間違った電車に乗ってとんでもない方向へ行ってしまい、後の日程に影響した。「後で会社でひどく叱られ、それ以来、仕事では決していい加減なことはしなくなりました。今もこの教訓は忘れません」と言う。
カギは語学力
働きながら旅ができるというのは大きな魅力的だが、最近はオーストラリアのワーキングホリデーに対して「仕事が思ったように見つからない、生活費が高すぎて旅費がかさむばかり」という不満の声も出ている。
このような期待とのギャップについて、前述のクリスティーンはこうアドバイスする。ワーキングホリデーに行こうと考えている人は、出発前に、渡航先の風土や国民性、生活やアルバイトに関する情報を十分掌握しておくべきだ。現地でも、他の国から来ている人々と人脈を作り、バックパッカーの口コミの情報が入ってくるようになれば、自分が希望する仕事が見つけやすくなる。
阿日王は、次のようにアドバイスする。多くの国は、ワーキングホリデーに来る人の語学力に制限を設けていないが、日本の場合、日本語が出来なければ生活するのも難しいし、仕事を探すのはもっと難しい。「レストランでアルバイトするにしても、お客さんの注文が聞き取れなければ誰も雇ってくれないでしょう」と言う。
異国でも台湾でも、就職の条件はほとんど変わらない。積極的で進取の精神があり、言葉が堪能ならば多くのチャンスが得られる。「カギはやはり自分の競争力です」と阿日王は言う。
フレキシブルな旅を提供するワーキングホリデーは世界中の若者を魅了している。もちろん何もかも理想通りとはいかないだろうが、時には不愉快な経験も成長のための学習になる。出発前に十分に考えて準備をすることこそ、充実したワーキングホリデーを過ごすための鉄則と言えるだろう。