農村を、地域社会を輝かせる
潮州の三共地域にある呉家の古い民家は50年以上誰も住んでおらず、内部は荒れ果てていた。そこで住民から提供された竹材や木の扉などを用い、ワヤンがユニークなカウンターを作った。天井は布地で覆い、暖かい雰囲気を出している。
「最初は地域の人々も私たちを知らず、興味深そうにのぞき込んでいました」と言う。そんな時は中に入ってもらい、言葉を交わすようになった。住民たちの理解も深まり、楽雅琪は三共地域の物語をたくさん聞くこととなる。そこで彼女は地域で一緒に演劇『戯説三共』を制作することを提案した。脚本も道具も役者もゼロから作り上げるのだ。ワヤンは、登場人物の表情豊かな面や被り物をたくさん作り、それを使って皆で稽古をした。楽雅琪によると、最初は演技をするなんてと断っていた住民たちも、一度稽古をすると実に楽しそうで、多くの人が他に役はないかと聞いてくるようになった。
この古い民家は、かつて近所の子供たちの遊び場で、羊小屋もあって、地元の人々はその羊のミルクを飲んでいたそうだ。子供たちが遊び、大人が集う光景はなくなったものの、こうした情景が芝居の中で再現された。若者も地元の物語に触れることができ、世代を超えて記憶が受け継がれていく。初めて演劇を披露した日、努瑪工作室は笑顔であふれ、地域に活気が戻ってきた。
ワヤンの創作方法は、まず地元の物語を知り、住民にとっての地域の意義を理解し、そこから発想を得るというものだ。「作品を通して町が美しくなり、芸術的な雰囲気が生まれます。もっと重要なのは、若い人々に創作のコンセプトを知ってもらい、作品と地域のルーツを理解してもらうことです」と言う。
楽雅琪は、コミュニティプランにおいて最も重要なのは、自分の地域を他所の人にどう紹介するかだと考える。「都会では人間関係が疎遠で、他人の住む地域の特色は気にしませんが、南部では人が住んでいる地域に何があるかを知りたがるものです。そこでインスタレーションアートを通して、地域の特色を打ち出すことができます」
例えば努瑪工作室は、屏東県塩埔の新二社地域のために「サンバおばあさん」という作品を作った。塩埔郷は生花の生産が盛んなため、ワヤンは花をイメージさせるサンバの衣装を着た可愛らしいおばあさんの人形を作った。塩埔を訪れた人々は、この人形に引き寄せられ、住民は自信をもって地域を紹介することができる。

ワヤンは各地を訪れてインスタレーションアートの作り方を教え、地域の住民たちと楽しむ。中国語は決して上手ではないが、その親しみやすい笑顔が互いの距離を縮める。