デジタル産業基地:駁二
文化創意産業が注目されるようになってからは、高雄は台北や台中の先を行こうと、海と港湾の魅力と古い埠頭の歴史をクリエーターの発想の場として提供しようと考えた。
塩埕;区「駁二アートセンター」にある500坪の倉庫には昨年、ソニー傘下のエンターテイメントソフトメーカーが入り、アジア最大のゲーム機開発・テストセンターを設立し、義守大学と共同育成したソフト開発人材の採用を計画している。
台湾のゲーム大手、智冠科技が20余年前に高雄に本拠を構えて以来、国際的な大手企業が高雄に進出したのはソニーが初めてだ。
「駁二」というのは高雄港の埠頭の名前から来た名称だ。埠頭には台湾糖業所有の800坪の倉庫が放置されており、2000年に市がそれに目をつけ、2年をかけて改造して経営委託した。
2006年に市の文化局が管理を引き継ぐと、ここは衰退した産業の遺跡として新興の文化創意産業のプラットホームとなった。高雄デザインフェスティバルや好漢玩字フェスティバルなどのアート展もここで開催され、若者に人気の場となった。
駁二アートセンター主任の簡美玲によると、ここはクリエイティブ世代の活力に満ちており、今では南部の大学・専科学校で学ぶ新鋭デザイナーが好んで訪れる聖地になっているという。見学者は2008年に16万人、2010年には90万人を超え、今年は1〜7月だけで80万人が訪れている。
文化局副局長の劉秀梅によると、港湾という立地より、若く大胆で無限の創意に満ちた文化的な雰囲気がソニーを惹きつけたという。
「埠頭付近の塩埕;地区には日本時代に残されたタイムカプセルがあり、倉庫での展示や公演にはシュールな創意があります」劉秀梅は、矛盾する二つのものがぶつかり合う刺激が、駁二アートセンターの優位性だと言う。
高雄市経済発展局によると、ソニーの子会社が進出したことで、駁二では10年以内に18億台湾ドルの生産高が見込め、5年以内に100近いゲームメーカーや映像制作会社の進出が期待できる。
ソニーの高雄港進出は、他の国際企業を刺激した。ハリウッドのCG大手のリズム&ヒューズ社やニュージーランド第二のアニメ会社Huhu Studiosなどが視察に訪れているそうだ。
「駁二は、文化創意発想のプラットホームと位置づけられます」と簡美玲は言う。
戦後間もない頃、愛河は輸入木材の輸送に活用された。台湾経済がテイクオフしてからは、高雄港のコンテナ取扱量は世界3位まで登りつめた。