台湾のB級グルメは最近、国賓をもてなす晩餐会でも供されるようになった。私たちの日常の舌を満足させるストリートの旨いものは、ローカルな食文化の継承をも象徴している。
今月号の『光華』カバーストーリーでは肉圓(バーワン)、刈包(グアバオ)、蘿蔔糕(大根餅)、爌肉飯(コンロウファン)という台湾の文化と人情を象徴する庶民の味をご紹介する。編集部は台湾各地を訪ね歩き、食文化や地域の結びつき、調理方法などを取材した。内外の皆様に台湾をより深く理解していただければと思う。
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歴史的な記憶は、一つの世代の感情やつながりを思い起こさせる。台湾経済テイクオフの原点と言える、高雄加工輸出区(現在の「前鎮科技産業園区)は、多くの人の幼い頃の記憶を呼び覚ますことだろう。世界にメイド‧イン‧タイワンを知らしめた存在でもある。ニューヨーク‧タイムズのベストセラーリスト入りをした小説『ラブボート、タイペイ』が映画化され、撮影が台湾で行われた。1990年代に台湾の救国団夏季研修に参加した海外の華人学生たちの物語である。
今月の「産業イノベーション」ではマニュファクチャリング‧ブランドという概念から台湾の機械産業の優位性を考える。またバイオテクノロジーを活かし、従来は廃棄物とされてきたカイコのサナギや、緑豆(リョクトウ)の皮を動物の飼料へと変える循環経済モデルもご紹介する。さらに、台湾における竹細工の多様な発展と応用もご覧いただきたい。今月の『光華』は懐かしさを感じさせると同時に、アートやイノベーションの情報も豊富だ。
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5年の時間をかけて、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、カンボジア、タイという東南アジア7ヶ国の言語の、30冊におよぶ母語教材が完成した。この「新住民家庭母語教材」の編纂を任された嘉義大学幼児教育学科の葉郁菁教授は、膨大な人数からなる編集‧制作チームを結成し、紙の印刷版だけでなく、人の声による発音が聞ける電子書籍、オンラインのテストゲームまで完成させた。新住民の子供たちの母語教育のために数々の困難を克服し、台湾と東南アジア諸国との友情にも貢献したのである。
彰化の爌肉飯の材料は豚肉、醤油、ネギのほかに、店によってはサトウキビやハマグリを加えてうま味を出すという。この「台湾」という名の料理も、新住民母語教材や廃棄物を用いた循環経済、貿易の奇跡など、あらゆる分野や業種の努力が結集し、世界に光を放っているのである。