南アジアの豊かな文化
インドの文化はボリウッドだけではない。創設16年になる西瓦インド舞踊団は、しばしば内外のインド舞踊団と交流、共演している。彼らが教えるインドの伝統舞踊カタックダンスは、インド文化に興味を持つ生徒たちに、インド映画に出てくる舞踊はすべて伝統舞踊を基礎としていることに気づかせる。
インドで10年にわたって舞踊を学んだダンサーの劉瑄臻は、台湾で開いたワークショップにおいて、生徒たちに優美で穏やかな伝統舞踊モヒニアッタムを重視するよう教え、また古典舞踊における手の型の重要性と意義を教え、インド文化への理解を促している。
劉瑄臻によると、古典舞踊のダンサーは語り部のようなもので、神話や処世哲学を人々に教える役割を果たしてきたという。特に古典舞踊のモヒニアッタムでは、必ず手の型(ムドラー)を合わせなければならない。例えば、インドのヴィシュヌ神の分身であるクリシュナ神や、象の頭を持つ神ガネーシャなどには特別な手の型があり、開花や落花、喜怒哀楽なども、すべて手の型で表現する。ゆっくりとした雅な舞姿は観客の心を動かし、インドの神々を感じさせる。
劉瑄臻は、ボリウッドにも進出している台湾では数少ないダンサーだ。映画『Super Nani』のDhaani Chunariya役、『Sharma Ki Dulhania』のLucky Tu Lucky Me役など、ボリウッド映画6作品に出演している。
無数のダンサーの中に埋もれたくないと思う彼女は、インドのケララ州Kalamandalamにある舞踊学校、Mohiniyattamに再び古典舞踊を学びに行った。そこで気づいたのは、インドのケララ州は華人とのつながりが強いことだ。例えば、台湾で端午節に行われるドラゴンボートレースによく似たスネークボートレースが行われ、また中国式の建築物も多い。そこで彼女はケララ州で「台湾映画祭」を開催し、これを基礎に将来的には台湾芸術祭を催したいと考えている。
彼女はまた、ケララ州の地元のアーティストとともに「Kala台湾」(Kalaは芸術の意味)を設立した。台湾の白蛇伝などの伝説の物語とインドの古典舞踊を結び付けて舞台作品とし、台湾とインドで公演したいと考えている。
『The Geography of Creativity』にある通り、アーティストは常に、人や関係、観念、才能をぶつけ合い、火花を散らす場を求めている。エジプトから台湾に移り住んだMamdouhと、10年にわたって台湾とインドを行き来している劉瑄臻は、すでにそれぞれの力を発揮する場を見出したと言えるだろう。
インド舞踊では顔の表情と手の型でさまざまな喜怒哀楽を表現する。
Mohamed Mamdouh(何穆)と趙芯瑩は、台湾をベースとして世界に向けてエジプトと台湾の民俗舞踊を広めたいと考えている。
インドでアミ族の伝統舞踊を披露したTW-EGY中東伝統民俗舞踊団。(TW-EGY中東伝統民俗舞踊団提供)
末永く継承されていくことを象徴するエジプトの燭台の舞。