ミリ単位の「先端」アート
37歳から鉛筆彫刻を始めた李健竹は、環境エンジニアリングを専攻し、「鉛筆彫刻を始める前の人生は、三言あれば語り尽くせます」という。農家の子として生まれ、卒業後は台湾プラスチックグループ第6ナフサプラントの入社試験を受け、28歳で結婚し子供が生まれた。
あるとき李健竹は、子供のために竹の箸に中国の昔の武器を彫った。「友達が見て、鉛筆の芯に彫ってみてと勧めてきました。そして1986年ごろから鉛筆彫刻をしているアメリカのアーティストの作品を転送してきたのです」世界の鉛筆彫刻のトップアーティストであるダルトン・M・ゲッティが、新しい世界の扉を開いてくれた。
鉛筆彫刻の材料はグラファイトの芯が入った市販の鉛筆で、寸法・色・芯の硬さは決まったいくつかに限られる。よい仕事はよい道具からというが、問題はミリ単位の芯を扱う道具を見つけることだった。李健竹は時計や眼鏡の職人の工具を使うことを思いつき、一通り買い揃え、工具の先をグラインダーで一つ一つ異なる形に磨き上げて、自分専用の鉛筆彫刻工具を作り出した。
2010年に制作を始めた。「時間は平等です。誰にも同じだけしかありません。仕事と家庭以外の時間はすべて鉛筆彫刻に注ぎました」インスタグラムに作品と工具を発表すると、鉛筆彫刻愛好家の反響を呼び、またたく間に世界に転送されていった。ベテランアーティストも新米も、細部の彫刻技巧や工具について質問してくる。英語はからきしというが、面倒がらず翻訳ソフトを使って、包み隠さず丁寧に説明する。「同じ鉛筆彫刻が好きな人と交流できるのが嬉しいのです」
鉛筆彫刻を通して、李健竹は世界各地のアーティストと交流し、誰かの光にもなった。李健竹の鉛筆彫刻は、デザインの美と巧みな仕事が、国と言葉を超えて、たくさんの人を創作へと誘う。
『西螺大橋』。赤鉛筆の全長は18センチ、芯の太さは5ミリ。