援助計画の多様化、任務の転換
現在も農業、公衆衛生・医療における国際協力はICDFの事業の重点である。「農耕チーム」から今日の技術援助チームに至るまで、援助対象国のニーズが変わり、協力方法や項目も多様化し細分化した。情報、環境、教育といった協力でも具体的な成果があがっている。
農業分野では、ICDFは2000年に農業園芸専門家・李国銓をサントメプリンシペに派遣し、キャッサバやトウモロコシなど食糧の栽培に協力している。近年は食糧不足に伴う貧困問題について、ICDFと技術チームが共同で構想し、「農産物卸売」と「農民市場」の機能を結集した初の農業多機能センターを立ち上げた。
それまで農家は収穫を路傍で販売し、価格の混乱、卸売業者の搾取を招いていた。技術チームが農産物卸売と農民市場の構想を導入すると、技術チームのバックアップによって農産物はよく売れるようになり、農家の所得も向上した。
中米のホンジュラスでは、ICDFは農業技術チームを派遣して「馬鈴薯種イモ育成センター」設立を支援した。重要な食糧だが種子業者がなく、近隣のグアテマラからジャガイモを輸入しており、コストも高く、需給バランスも悪かった。そこで2014年にICDFが進出し、育種や病虫害を予防し、ジャガイモの収穫量を増大させた。
ICDFの援助項目の一つに、農業と同じく重要な医療援助計画がある。医療アクションを重ね、無数の命を救ってきた。
ICDF設立のはるか前、1962年にわが国は軍医をアフリカのリビアに派遣して医療援助を行っている。後にサウジアラビア、リベリア、南太平洋のキリバスにも赴いた。中でもICDFが長年医療援助を行うブルキナファソは、台湾国際医療チームが取り組む国際援助の縮図である。
ICDF設立後、医療チームをブルキナファソ第三の都市クドゥグ友好病院に駐留させた。院内での診察に加え、クドゥグから40~50km離れた村へ、2ヶ月に1回の巡回診療を行った。
実際の医療のほか、ICDFは現地の医療従事者を育成し、医療の質全体の引き上げを図る。2011年にも、医療チームが創傷の緊急処置、周産期検診など基礎医療トレーニングを行っている。第一線のスタッフに基礎医療トレーニングを行う「友好国医療従事者訓練プログラム」では、2005年の開始以降、30数カ国で300人以上がトレーニングを受けている。
設立20周年を迎え、ICDFの施文斌事務局長は今後も絶えず援助計画を進め、台湾の経験を世界に伝えていきたいと考えている。(林旻萱撮影)