職場で自信をつけていく
師範大学英語学科を出て、今はP&Gでカスタマー・マネージャーを務める劉盈孜も2006年にマイクロソフトで実習した経験がある。
28歳の彼女は、幼い頃に両親とともにカナダに移住したが、17歳の時に父が失業して台湾へ戻り、台湾の私立高校へ転入した。だが、カナダの高校とのカリキュラムが大きく異なり、一時は成績が振るわず、自信を失っていた。が、幸い英語ができるため師範大学英語学科に進学できた。
教員志望ではなかったため、在学中から就職力を高める努力を怠らなかった。大学1年の時は台湾大学でビジネス管理の授業を聴講し、2年になると企業実習先を探し始めた。マイクロソフトが実習生を募集していると聞き、4ページにわたる履歴書を書いて応募し、合格した。
マイクロソフトの法務部門のアシスタントとして実習することになった彼女の最初の仕事は、警察からのネット犯罪捜査協力の受理と、中国語と英語のファイル整理だった。
英語には自信があったが、上司から大量の修正を加えられた文書を見て、学校で学んだ知識だけでは職場では通用しないことを知った。
上司に指摘されて根気強く間違いを修正し、少しずつ仕事を任されるようになった。マイクロソフト米国本社が世界の犯罪データバンクを構築する時には、その仕事を任され、彼女は模索しながら半月をかけて数十ページのマニュアルを作成した。
その頃から劉盈孜は自信を取り戻した。実習生に対して、マーケティング部門からWindows Vistaの企画案提出を求められた時は、同じ大学出身のスポーツ選手やタレントを起用したオンライン投票イベントを提案して1位に選ばれた。
優れた業績を上げた彼女は、同社で一年間のアルバイトの機会を得、その後さらにP&Gでの実習を希望し、マイクロソフトの上司の推薦を受けて正規に就職することができた。
「とにかくやってみる」ことを信念とする劉盈孜は、自分は幸運に恵まれたが、当時は挫折や迷いもあり、実習の経験がなければ今のような広い視野と強さは持てなかっただろうと言う。
多くの人材が育っていく
マイクロソフトのインターンシップの原則は「職場は学校でも予備校でもない。上司はあなたを訓練するが、手取り足取り教えることはない。自分は空のコップで、誰かが水を注いでくれると思ってはならない」というものだ。経験や技能は不十分でも、何も準備せずに受け身でいてはならないのだ。職場は戦いの場であり、少なくともチームとともに戦って行く心構えが必要なのである。
巨大IT企業であるマイクロソフトは、他社のために人材を育成することをいとわず、若者が未知の世界を切り開いていく力を育てている。