ベトナム人妻の得意料理
取材で台中潭子のレストランを訪ねる前に、私たちは阮氏秋に電話をかけ、現場でいくつか料理を作ってほしいとお願いすると、彼女は快く引き受けてくれた。調理して見せてくれるのは看板料理の「客家小炒」と「恋恋木瓜香」である。
客家小炒は、どの客家料理店でも食べられるが、本格的なものにはなかなかお目にかかれない。スルメ、豚バラ肉、干し豆腐、ネギ、葉ニンニク、揚げエシャロット、干し蝦、トウガラシを阮氏秋は手際よく切っていく。7年前に姑と一緒にコンクールで優勝した一品だが、そのために彼女は練習を重ね、「大会前にはスルメだけで30枚は炒めました」と言う。
鍋を火にかけ、食材を炒めていく。その見事な手さばきに、五つ星ホテルのシェフで、大学で調理を教える夫も傍らで微笑みながら写真を撮るだけだ。「バラ肉は、脂が出てくるまで炒めないと香りが立ちません。脂が出てきたら干し豆腐やセロリを加えます」と阮氏秋は「客家小炒」をおいしく作る秘訣を教えてくれる。「弱火で、じっくり煎り付けてこそ食材の香りが出てきます」
「恋恋木瓜香」は阮氏秋が考案したベトナム風の青パパイヤのサラダで、ドラマがヒットしてから、料理の名前をドラマのタイトルと同じ「恋恋木瓜香」に変えた。
千切りにした青パパイヤとニンジンに、砂糖や唐辛子ソース、レモン、ピーナッツ、パクチーなどを和えたものだが、彼女はここに故郷のニョクマムを加え、ベトナムらしさを出している。千切りにしたパパイヤとニンジンは氷水に15分ほど浸しておくと、シャキシャキの歯触りになる。