近年はピクニックがブームとなっている。人気のあるピクニックスポットに足を運ぶと、さまざまな用具が数年前とは比べものにならないほど進歩し、また普及していることがわかる。ピクニック用品はどれもスタイリッシュで、使用者それぞれの個性が表れている。多くの人が自分でショッピングカートやワインの木箱を改造して、自分だけのピクニック用具に変身させている。
時間がない人、手作りの技術がない人は、外国製の高品質のピクニック用品を購入する。こうしたビジネスチャンスに目をつけ、王忠志は2年前に好事国際貿易公司を設立した。流行のファッショナブルなアウトドア用品を輸入し、ピクニック市場を狙おうと考えたのである。
売れ行き好調なピクニックグッズ
ピクニックはどれほど流行しているのだろう。王忠志によると、ピクニックバスケットの場合、一年半前には月に10個ほどしか売れなかったが、この半年は毎月平均100個も売れているという。
ピクニック用品の売上は、この一年で50%も成長しているのである。
自身もアウトドアライフを愛好する王忠志は、ピクニック人口の増加を実感している。彼がよくピクニックに行く国立台北芸術大学を例にとると、以前は自分が座りたい場所に必ず座れたのに「今は早朝から場所を取らなければ、ピクニックをするスペースさえない可能性があります」と言う。以前から、彼は友人と工夫を凝らしてファッショナブルなピクニックを楽しんでいたが、セッティングに手が込んでいるので、道行く人から不思議そうに見られることも多かったという。それが今では、当時は不思議そうに見ていた人々もピクニックの列に加わり、各種のピクニック用品をそろえて熱中しているのである。
この一年余り、台湾でピクニックが一大ブームを巻き起こしている原因について、ピクニックの達人・璐露野は、食の安全が重視されるようになったことが大きいと考える。「食の安全を脅かす事件が次々と起り、多くの人が料理をするようになってピクニックの人気も高まってきたのです」と言う。ピクニックでは家族と一緒に食事の用意ができるうえ、愛好家同士で料理のアイディアもシェアでき、誰もがそれを楽しんでいる。
王忠志は、質の高いピクニックに人々が熱中するのは、台湾社会が「身近な幸福」を求めるようになったからだと考える。スタイリッシュなピクニックを通して、おしゃれに食事を楽しむ。「誰もが、そういう雰囲気と感覚を求めているのです」と言う。
ピクニックの流行はキャンプが盛んになったこととも関係している。時間や場所の関係でキャンプに行けない時は、代わりにピクニックに行くという人が多いと王忠志は言う。キャンプ用品はピクニック用品より豊富で、折り畳みの椅子やテーブル、サンシェードなど、ピクニックでも使えるものが少なくない。
このほかに、サイクリングとピクニックを組み合わせる人も多い。サイクリングの途中で美しい景色に出会ったら、その場でランチを広げるというのも楽しい。自転車にかけられるようにデザインしたピクニック用品も多い。
バスケットを手にピクニック
ピクニックは自分の好きなようにすればいい。ただ、ピクニックバスケットは、ほぼ欠かすことのできない基本アイテムのようだ。
普通のカゴや袋でも用は足りるのだが、ピクニック用にデザインされたバスケットには、さまざまな気の利いた機能がある。
「ヨーロッパのピクニックバスケットはオールインワンで、便利だし、見た目も美しいです」と王忠志は言う。ヨーロッパでは多くの人が、必要なものをすべてバスケットに詰め、それだけ持っていけばピクニックができる。そのため、バスケットは多機能で便利な設計になっている。上蓋の内側には留め金があって、皿やナイフ・フォークなどが固定できるようになっている。パンを切るためのナイフやまな板を収納できる専用の袋がついているものもある。
バスケットの素材は、プラスチック、キャンバス地、アルミ、藤、木製などさまざまだ。キャンバスは軽く、アルミは保冷ができるなど、それぞれに長所がある。レトロな雰囲気を出そうと、母親が結婚した時にお祝いの飴を入れた竹籠を使う人もいるし、八百屋でアスパラを入れる木箱にペンキを塗って改造している人もいる。
市場で購入できる高品質のバスケットの多くは外国製で、台湾のブランドがようやく出てきたところだ。だが、ピクニック用品で一つだけ、外国より台湾の方が先を行っているものがある。
欧米では地面にそのまま座ってピクニックをする人が多いが、台湾ではピクニックシートの需要が高く、それが台湾特有のビジネスを形成しているのである。
多くの人がピクニックシートを使うのは、台湾は雨が多くて湿度が高く、草地の表面は乾いていても、下の土は湿っていることが多いためで、防水機能のあるシートを敷く必要がある。これによって、ペットの糞などを踏んでしまうという悲劇も避けられる。
以前は、地面に敷くものと言えばゴザか簡単な布地だったが、飲み物や食べ物をこぼすこともあるため、洗いやすいビニール素材のものが主力になってきた。風で捲れないように、裏にアルミシートが貼ってあるものが主流である。
ピクニックが盛んになる前は、ピクニックシートはキャンプ用シートに分類され、実用的で安いものが主で、デザイン性はあまり問われなかった。それが、おしゃれ感を求めるピクニックが盛んになると、シートも見た目の良さが求められるようになり、さまざまな柄やデザインのものが売れるようになった。人によっては、ピクニックのスタイルによってシートを変える場合もある。
「ピクニックシートも進化し、今は防水だけでなく油汚れにも強く、専用のバッグもついています」と王忠志は言う。さらに、雨の時は雨避けのシェードに変身するものもある。決して安くはないが、よく売れているという。
ピクニック用品にはさまざまなものがあるが、あまり道具が多すぎると、かえってピクニックの趣旨が失われてしまうと王忠志は言う。自分の必要を満たすものだけを選べばよく、人と比べていたら楽しさも消えてしまう。
台湾でも、ますます生活の質が重視されるようになってきた。大自然に触れ、陽光とそよ風を感じるピクニックのブームは、これからも広がっていくことだろう。
夏のピクニックでは、日除けにも雨避けにもなるシェードがあると助かる。地面に近いロースタイルのチェアやテーブル。王忠志が推奨するライフスタイルでもある。
夏のピクニックでは、日除けにも雨避けにもなるシェードがあると助かる。左は、地面に近いロースタイルのチェアやテーブル。王忠志が推奨するライフスタイルでもある。
夏のピクニックでは、日除けにも雨避けにもなるシェードがあると助かる。地面に近いロースタイルのチェアやテーブル。王忠志が推奨するライフスタイルでもある。
さまざまな収納機能を備えたピクニックバスケットは必需品だ(璐露野提供)。おしゃれなピクニックを目指すなら、ポットやランプにもこだわりたい。
さまざまな収納機能を備えたピクニックバスケットは必需品だ(璐露野提供)。おしゃれなピクニックを目指すなら、ポットやランプにもこだわりたい。
さまざまな収納機能を備えたピクニックバスケットは必需品だ(璐露野提供)。おしゃれなピクニックを目指すなら、ポットやランプにもこだわりたい。
さまざまな収納機能を備えたピクニックバスケットは必需品だ(璐露野提供)。おしゃれなピクニックを目指すなら、ポットやランプにもこだわりたい。
ピクニックが盛んな台湾では、一年を通して各地でさまざまなピクニック・イベントが行われている。写真は、新竹峨眉天主堂で行われたイベントの模様。(林格立撮影)