手を携えて
台湾一周ボランティア旅行を呼びかけたのは手愛心視覚障害者ライフケア協会の創設者・盧冠良である。今年28歳、先天的な全盲で、幼時に中耳炎で聴力が損なわれた。障害があっても小さい頃から人助けの夢があり、人の助けを受けるだけでなく、社会に還元したいと願ってきた。長い準備期間を経て、2015年に手愛心視覚障害者ライフケア協会を設立し、就業マッチングだけでなく、生活面のサポートもし、視覚障害者を連れて他の弱者団体を訪問する。
前向きで好奇心旺盛な盧冠良は、2015年に単独で台湾一周ボランティア旅行に2回行っている。療養施設の入所者はマッサージで寄り添うと笑顔になったが、一人の力は小さく、また聴力も良くないため年配の人とは話が通じないことが多い。視覚障害者の友達を連れて来ようという考えが浮かんだ。療養施設で脳性麻痺で筋肉が萎縮した十代の患者に出会う。冠良は再び自分が幸せだと思う。目は見えないが、どこへでも行ける。その女の子は学校に行く年頃なのに、一生を療養施設の車椅子で過ごさなければならないのである。そこで、必ずここに戻ってこようと決心する。
盧冠良に一人旅に不安はないのかと尋ねると、明るい答えが返ってきた。「失敗は醍醐味、経験は学びです」視覚障害者にも夢を追う権利がある。それは制限されるべきではない。それが今年の台湾一周につながった。続いて、盧冠良一行は今年の夏、タイ北部へ飛び、児童養護施設の子供たちに会いに行っている。
ドキュメンタリーは視覚障害者の暮らしをそのまま描き出す。友達を呼んで家で鍋を囲み、楽器に合わせて歌い、彼らのありのままの生活を人々に見せる。社会に視覚障害者への理解を促し、寛容と関心を誘う。
人は自分にないものを求め、物質で命を満たす。だが林佳箴、甘仲維、盧冠良に、我々は命の積極的な強靭さを見出す。視覚障害者として、自立して暮らすだけでなく、生命の一刻一刻を逃さず、台湾のフレンドリーなバリアフリー環境作りに取り組み、人々の関心と参加を呼びかける。小さな善意は微かな光になり、暗闇の中で燈台となって、煌く希望の光を放つのである。
視覚に障害を持つ彼らは生活面で自立するだけでなく、力強く自分の道を切り開き、他の視覚障害者にも希望を与えている。
視覚に障害を持つ彼らは生活面で自立するだけでなく、力強く自分の道を切り開き、他の視覚障害者にも希望を与えている。
明るくて前向きな林佳箴は台北啓明学校(盲学校)でレストランサービスの授業を担当して自分の経験を伝え、視覚に障害を持つ子供たちにより多くの就業の道が開かれるよう願っている。
「甜裡開始」で働くのは目の不自由な人ばかり。彼らは人々の善意を信じ、カウンターに小銭とお札を置いて、消費者に自分でおつりを取ってもらっている。
白い杖を手に勇敢に前へ進む。甘仲維は、障害者にやさしい仕事環境さえあれば、能力を発揮できると考えている。
甘仲維が失明した後、弟の甘仲瑜(右)は外資系企業の仕事を辞め、台湾視覚希望協会の仕事をするようになった。兄弟二人で手を取り合い、一緒に視覚障害者のために努力している。
資訊工業策進会で働く甘仲維はITの専門能力を活かして、バリアフリー・ソフトの開発に協力している。i-AIMアプリの開発にも参加した。
i-AIMスマホアプリは、脊髄損傷などで行動が不自由な人に、視覚障害者の代わりにオンラインで情報を読んでもらうというもので、身体障害者の就業にもつながる。