台湾の四季を知る
深夜、高速道路を中南部から北部に向かうトラックの中には、午前4時から競りが始まる台北内湖の花卉市場へ急ぐものも少なくない。
午前4時に生花の競りが始まり、売れた花々は市場内の各店舗に並べられる。5~6時には生花店やフラワーデザイナー、フラワーアレンジメント教室などが次々と仕入れに来る。少し遅れて一般消費者が家に飾る花を選びに訪れ、正午には店舗は店じまいする。
財団法人台湾区花卉発展協会の李麗蘋‧総経理は私たちを案内しながらこう説明してくれた。「台北花市は全台湾で最大規模の花卉卸売‧小売市場です。切り花、鉢植え、資材の3つのエリアがあり、200余りの店舗があります。全体の8割は国産、2割は輸入品を扱っています」花は全国各地から集まってくるが、主な産地は台中、彰化、南投、雲林、嘉義、台南だ。秋から冬にかけてが台湾の花のシーズンである。夏は暑くて生花栽培には向かず、オランダやエクアドル、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドなどからの輸入花材で不足を補っている。
生花業界で30余年の経験を積んできた黄麗蘋はこう話す。「台湾で最も多く生花を消費するのは宮廟の祭祀で、全体の3割を占めます。また台湾人は旧暦の毎月1日と15日に礼拝し、商店では毎月2日に商売繁盛を祈願して花を捧げます。続いて冠婚葬祭や開業、転居などのお祝いもあります。近年はフラワーアレンジメント教室の消費が3割を占めるようになりました」
市場の変化を黄麗蘋はこう観察する。「以前は伝統の生花と言うと、キクやバラ、グラジオラスなどで、主に赤や白、黄色、紫といった色でした。それがここ十年ほど、トルコキキョウやオンシジウム、ヒャクニチソウ、ガーベラなどの人気が出ています。色彩も多様化し、トルコキキョウなどはピンク、緑、白、紫があるほか、二色のものやグラデーションの美しいものもあり、品種も一層豊富になっています」
さらに、メインの花を引き立たてる花材として、以前はオオミドリボウキやカスミソウなどが主流だったが、最近はユーカリやモンステラ、アスパラガスシダ、ルリタマアザミ、オオタニワタリ、シダ類など、名前も知らないようなさまざまな形の葉物が売られている。鉢植えのエリアでは、世界に知られる台湾のコチョウランが美しく咲き、贈り物として人気がある幸運のシンボルで観葉植物のギンヨウセンネンボクやパキラ、それに多肉植物などがある。
しばしば海外の花卉専門家訪問団の来訪を受けている黄麗蘋は、最もよく称賛されるのは台湾の花卉市場の多様性だと言う。小さな国にこれほど多くの植物の種類があるのかと驚かれるそうだ。「小さな店舗が数多くの品種を揃えていることからも、その背後の産業全体の豊かさが見て取れるのです」と黄麗蘋はまとめた。
李日勝は、昔のように各地の物産を使って大晦日のご馳走を作ってほしいと考えている。
李日勝の店舗入り口を見れば、海産の乾物や各地の物産を扱っていることがわかる。
多くの人が花を飾って暮らしを彩ろうと花市を訪れる。
迪化街では店の前の歩道にも商品が山積みにされている。