偽情報の拡散を防ぐ
新型コロナ関連の誤情報やデマは、人々の不安をあおり、正しい理解や議論の妨げとなる。
チームを率いて情報の「AI識別技術」を開発した資策会デジタルサービスイノベーション研究所組長の陳棅易博士によると、偽情報には、いくつかの特徴があり、人々はそれを重要な情報だと感じて拡散したくなるのだと指摘する。例えば、誇大化あるいは改造した写真や専門家の話などである。こうした問題を解決するために彼らはAIに偽情報の特徴や語気を学習させ、台湾ファクトチェックセンターに誤情報‧偽情報である可能性が極めて高いものを優先的に提示している。
また、陳棅易のチームは「誤情報スクリーニングプラットフォーム」を開発した。台湾ファクトチェックセンターは、今ではキーを押すだけでデータベース内の不実情報分類を見て、すぐに調査すべきテーマを知ることができるようになった。以前は、まずあらゆる情報を分担して、全員がスマホで読んでいたが、資策会がこの作業を半年間観察した後、効率を高めるシステムを開発したのである。
また、資策会情報セキュリティ技術研究所のディレクターである張文村博士は、誤情報‧偽情報の拡散経路を分析、発信元のアカウントを特定し、これらアカウント間の関連性を分析するなどして関連部門に通知し、事前の対策を打てるようにしている。
張文村によると、フェイク画像の拡散防止については、すでに海外のスタートアップ企業が扱っている事例があるそうだ。例えば「自動車事故の保険金を詐取するために写真を偽造するといった事案については、保険会社は識別技術を必要としています」と言う。こうした偽情報の分野では、海外には処理の原則があるが、技術面ではまだ成熟していない。そうした中で、資策会が開発した技術が受賞したことで、EUからの問い合わせも来るようになった。「台湾の技術がここまで進んでいることに彼らは驚いています」と陳棅易は笑顔で語る。
資訊工業策進会が開発した「虚偽情報スクリーニング技術」と「AI識別技術」は、2021年にアメリカの「R&D 100 Awards」を受賞した。