堂々たる宴――曾志昌
基隆経国管理・健康学院調理学科の助教でシェフの曾志昌が打ち出すメニューは、福菜蒸海鱸魚(スズキの漬物蒸し)、涼拌果酢双耳(キクラゲの酢の物)、桜花蝦野菇拌飯(サクラエビとキノコの混ぜご飯)、豉汁粉蒸子排(スペアリブのトウチ蒸し)、水梨養生鶏湯(梨入り鶏スープ)、瑶柱北菇扒時蔬(野菜とシイタケの貝柱風味)。どの料理も揚げたり炒めたりするのではなく、油を使わずに蒸したり和えたりしたものである。華やかさは追求せず、ヘルシーかつ低炭素の調理を重んじ、普段はあまり料理をしない人でも簡単に作れるレシピである。
福菜蒸海鱸魚(スズキの漬物蒸し)は食材も作り方も簡単だ。用意する食材はスズキを一尾、客家福菜(カラシナの漬物)、日本の葛きり、香菜、米酒、塩、砂糖、ナンプラー、ごま油、ネギ、ショウガ、ニンニク、トウガラシなど。
さっと熱湯をくぐらせたスズキを器に置き、それ以外の材料を刻んだものを載せて8分蒸す。そして完成の3分前に葛きりを添えるだけだ。漬物の酸味が魚に染み込み、葛きりが魚のスープを吸っておいしい。葛きりを使うのは、カロリーが低く、煮崩れしにくいからだという。この料理のポイントは強火で蒸すことだと曾志昌は説明する。魚が硬くならないよう、沸騰した蒸し器に入れて8分蒸せばよい。
豉汁粉蒸子排(スペアリブのトウチ蒸し)も炒める工程はない。下味をつけたスペアリブに片栗粉をまぶし、シソ梅とエシャロット、ニンニク、トウチとともに強火で15分蒸せば完成。茹でたブロッコリーやチンゲンサイとともに盛り付ければ見た目も美しい。
水梨養生鶏湯(梨入り鶏スープ)は宜蘭県三星の梨を入れた鶏のスープだ。曾志昌は、買ってきた梨が甘くなかった時、捨てるのは惜しいと思ったことから考え付いたレシピだという。
鶏を湯通ししてアクを取り、クコの実、ナツメ、アメリカニンジンなどの生薬と薄切りの梨を入れ、電気釜で1時間半加熱し、塩少々と酒で味を調える。「梨のポリフェノールとアルファヒドロキシ酸がスープに甘味を加えます」と言う。
春節に白いご飯では味気ないし、かといっておこわでは油がきついという人は、簡単で見栄えもする桜花蝦野菇拌飯(サクラエビとキノコの混ぜご飯)はいかがだろう。
キノコ類は切って炙り、オリーブオイルをかけておく。サクラエビを煎り、錦糸卵を作る。白いご飯に振りかけとキノコ、日本の薄口しょうゆをまぶし、サクラエビと錦糸卵を載せて蒸せば、香り高く、油も少ないヘルシーなご飯ができる。
この他に、黒いキクラゲと白キクラゲを茹でて氷で冷やした涼拌果酢双耳(キクラゲの酢の物)、茹でたシイタケと野菜を和えた瑶柱北菇扒時蔬(野菜とシイタケの貝柱風味)も簡単な創作正月料理で、レシピ通りに作れば失敗しない。
政府衛生福利部食品薬物管理署は「食材本来の味、ヘルシーな手作り」をテーマにシェフのレシピを提供し、手作りの正月料理を推奨している。