正興街は台南を訪れたら必ず立ち寄りたい町である。60メートルに満たないこの通りで、「世界で最も視野の狭い」雑誌を標榜する『正興聞』が創刊された。雑誌の主役はすべてこの街の人物や物事である。この通りの十数の店が編集チームを結成し、敢えて「視野の狭さ」を強調する。一つの地域を深く掘り下げてこそ、世界が見えると考えている。
清華大学の学生たちが創刊した『貢丸湯』は、キャンパスから歩み出て古い家屋の改造からスタートし、新竹の旧市街地にある老舗や、街の片隅で夢を追う人々の物語を紹介する。新竹と言えば、サイエンスパークと城隍廟しか思いつかない人もいるだろうが、『貢丸湯』を読めば、この他にも新竹にはさまざまな魅力があることが分かるだろう。
苗栗県南庄の紙一枚の雑誌『拾誌』は、Uターンした若者、邱星崴が農村の産業転換を目指して起こしたアクションの一つである。彼は故郷のイメージが変わってしまったことに不満を感じ、体験型の旅行を企画している。若者向けの宿泊施設を開き、宿泊客が労働と宿泊料を交換できるようにした。そして『拾誌』で南庄の過去の輝きを振返り、少しずつ農村を変えていきたいと考えている。
『952 VAZAY TAMO』という神秘的な名称を持つのは、離島の蘭嶼で若者が創刊した、島で初めての地域に属する雑誌である。気楽に読める楽しい内容ながら、伝統文化も掘り下げる内容の濃いこの雑誌は、6人の女性が離島のリソース不足を乗り越えて作っている。蘭嶼からイメージされる複雑な重苦しい印象を払拭し、若い編集チームは蘭嶼の若者と台湾本島の人々に対し、蘭嶼の文化にも気軽に楽しく触れられることを教えてくれる。
暮らしの中に文化を見つめ、ローカルな視点を見出していく。地域に根差した雑誌を手に、実際にその土地を歩けば、きっと台湾の新しい魅力を発見できることだろう。
(写真左から)台南の『正興聞』編集チームの高耀威。新竹の『貢丸湯』編集チームと若い実習生たち。苗栗の『拾誌』の 編集スタッフ。蘭嶼初の地域の雑誌『952 VAZAY TAMO』。
(写真左から)台南の『正興聞』編集チームの高耀威。新竹の『貢丸湯』編集チームと若い実習生たち。苗栗の『拾誌』の 編集スタッフ。蘭嶼初の地域の雑誌『952 VAZAY TAMO』。
(写真左から)台南の『正興聞』編集チームの高耀威。新竹の『貢丸湯』編集チームと若い実習生たち。苗栗の『拾誌』の 編集スタッフ。蘭嶼初の地域の雑誌『952 VAZAY TAMO』。