古典のエッセンスを取り込む
才気溢れる劉冠伶は、台南芸術大学応用芸術研究科の修士号を取得し、第4回国家工芸賞を受賞し、その作品「印象・花開」は国のコレクションとして収蔵された。草山金工ブランドは、ルイ・ヴィトンのシティ・ガイドブックにも掲載され、国際的ブランドとなっている。
「起業は偶然のチャンスでした」と話す劉冠伶と夫の蕭輔青は、共に台南芸術大学で修士号を受けた英才である。草山金工のワークショップは、一般に金細工を紹介し、創作に参加することで金細工普及を図る理念で開催されている。
多くの人に助けられたと笑う劉冠伶の草山金工は、12年前に陽明山麓の家のベランダに開設した工房で始めた金細工教室が基となった。元々は創作に没頭する職人気質の劉冠伶だが、教室を開き技術を教えることで一歩前に進んだ。
「シンプルな線を使えば作品をスタイリッシュに仕上げられ、受講生は自信を持つことができます」と、古今東西の図案を金細工に取り入れて美を演出する。2013年には、「一日銀細工職人」の工房を開設し、参加者は3時間で作品を作ることができ、大変喜ばれた。
「それが話題となって、大忙しとなりました」と、好評に押されて、二人は分業しながら体験工房を常設化することにした。現在は、台北と台中のデパートでも実施している。
自分の手で完成させた作品は、お金で買ったアクセサリーより心に残るものである。小さな銀塊が一対の結婚指輪となり、一本の銅線が一輪のバラになる。「どの作品にも深い思いと、長く続く祝福が籠められています」と言う。手作りすることで、その思いは長く留まるのだろう。
劉冠伶が最も感動したのは、プロポーズの場面である。これまでも、その工房において何組かのカップルのプロポーズが行われ、ロマンチックなシーンを生み出してきた。恋する二人が自作のエンゲージリングを交換すると、抑えきれない幸せな雰囲気が空間全体を満たすのである。
銀は教室でよく使われる材質だ。丁寧に磨きをかければ美しく輝いてくる。