「小さくとも優秀」を追求
白熱化する市場競争において、未だにLCC計画を進められない復興航空だが、機敏な経営手腕と高いサービスの質で差別化している。
LCCの販売経験を参考に、2013年3月から10月の国際線にアーリーバード・プランを打ち出した。中でも台北-シンガポールのエコノミーは往復3700元(税別)と、65%オフであった。しかも格安航空会社では提供しない機内食付とあって、旅行を計画していなかった個人客までひきつけた。
サービスの質を見ると、復興航空のサービス担当の王鍾銘は、他の航空会社に比べて、復興航空では地上勤務と乗員のチームワークがよく、搭乗客のために工夫を凝らしているという。そのために、遠見雑誌の傑出サービス賞を2回受賞している。
ある時、閉所恐怖症のビジネス客が搭乗前に薬の服用を忘れ、乗り込むことができなくなった。大汗をかき、呼吸が荒れ、ブリッジで足がふらつく乗客がいれば、他の航空会社なら無線で放送して預けた荷物を下ろし、医者を手配する。しかし、復興航空では電話での連絡を用い、空港全体に知れ渡ることなく、乗客の面子を保った。この乗客はプライバシーに配慮した復興航空に感謝し、その後は復興航空の忠実な顧客となったと言う。
各界からの評価が高く、最近では優秀な経営者としてアイゼンハワー・フェローシップ奨学金を受けた林明昇は、それでも「小さくとも優秀というのが復興航空の経営の特色で、また理念でもあります。将来、会社が拡張を続けようとも、この理念を変えるつもりはありません」と断言する。
低迷期を潜り抜け、ようやく羽を広げて飛ぼうという復興航空は、三代目の林明昇の機敏な経営の下、これまでは二大航空会社が寡占していた台湾の航空市場に三者鼎立を実現した。将来的にはその事業の拡大を計画し、ホテル業界にも乗り出し、アジア太平洋からオーストラリア、ニュージーランド、さらには中東や東欧の新路線への就航を目指しているのである。
長い歴史を有しつつ、新しい活力に富むこの航空会社は、これからも優雅な姿で大空を飛翔していくことであろう。
高級感ある機内食や行き届いたサービスで、復興航空は数々の賞に輝いている。