行動計画1:廃墟の占領
グラフィティはゲリラ的に空間を占領する行動だが、疲れたら休む場所も必要だ。Bbrotherは創作に関わる若者と、廃墟になった公営宿舎を探し始めた。彼らはこれを「進駐」と呼ぶ。忘れ去られた都市の廃墟は、若者が進駐した後、短いながら新しい命を持つ。だが廃墟もグラフィティと同じく、公的権力で消失し、美しくも一瞬の存在となる運命にある。
今年1月、Bbrotherが台湾大学の公館近くのパリ公社という店で酔い、店の外に落書きしようとした時のことだ。怒った店主は彼を近くの荒れ果てた官営宿舎に連れて行き「描きたいならここでやれ」と言った。そこで彼はこの日、宿舎を占領して創作することにし「廃墟占領計画」を始めたのだ。
廃墟は、見捨てられ、まもなく朽ち果てて消失する空間だ。彼らは廃墟を行動の場と位置づけ、占領後は自由に使うことにした。部屋全体に思い切り落書きしたり、古本の交換、映画鑑賞会の開催、喫茶店経営、バンドの練習、さらに芸術祭も行われた。
ここ数年、行政も跡地スペースの再利用を推進しているが、Bbrotherの廃墟計画も捨てられた空間の再利用だ。ただ彼らは自発的な創意を通して、体制外からの力を示すことで、この芸術的な占領行動を行っているのだ。
退廃的な雰囲気のある廃墟は、社会秩序から逃避できる理想郷でもある。