新型コロナウイルスの流行が続く中、心豊かに暮らしたいというのは過分な望みなのだろうか。そうではない。平凡な私たちも少し工夫すれば「日日是好日」の穏やかな幸せを手にすることができる。一杯のコーヒー、一鉢の植物、あるいは料理教室など、手の届く範囲で暮らしは豊かなものとなる。生活の細部にさまざまな選択があるのだ。
春を迎え、「光華」はエコロジーやレジャー、花など、生活の質を高める提案をさせていただく。「自煮生活」で料理の楽しみを体験するのもいいし、「北鳥——大人的自然美学時光」で植物を仔細に観察するのもいい。また、ゴミを出さない「ゼロ‧ウェイスト」生活を実践する2組の夫婦から環境にやさしい暮らし方を学ぶこともできるし、フラワーアーティストから暮らしに花を取り入れる方法を学ぶのもいいだろう。こうした「小さなこと」が日々の生活に新しい喜びをもたらしてくれるはずだ。
このほかに、今月号では宜蘭での自転車の旅をご提案する。サイクリングを楽しみながら、海、林、川の景色を眺め、海風や林を抜ける風を感じられる素晴らしいコースだ。また「桃園城市故事館群」「人間国宝陳啓林」では地域に根差した文化をご紹介する。また、没入型、参加型、レスポンシブ型という形でパフォーマンスを創作する「明日和合製作所」にも触れていただきたい。観客が作品に参加するという表現形態が注目されている。
キノコ栽培に台湾で初めてクリーンルームを導入した蕈優生物科技(Q-Yo)の方世文CEOは「残留農薬の基準を満たすどころかゼロ検出です」と語る。彼らは、まるで純白の牡丹の花のようで、ジャスミンの香りを放つ白キクラゲや、柄は霜降り肉のような食感で、傘はハマグリを思わせる旨味を持つオイスターマッシュルームを生み出した。また、和牛クラスの高級食材であるホンシメジとヒラタケシメジを生産する山珍味生物科技(Jinlife)の栽培方法もご覧いただきたい。
同じように自然の循環サイクルを重視する中央研究院(アカデミー)会員の楊秋忠は、世界最短の3時間で生ゴミを有機肥料へと変える「酵素反応剤」を開発した。南投県国姓郷の農家に生まれ、30年をかけてゼロから研究してきた成果である。その著書『土壌と肥料』は土壌学界の聖典とされ、英語、韓国語、マレー語などにも翻訳されている。この素晴らしい物語もぜひじっくりとお読みいただきたい。