瑞穂蜜香紅茶
紅茶では、名間郷は後発である。それより先に花蓮県瑞穂郷の「蜜香紅茶」の質が世界で認められている。
2006年の世界紅茶コンテストで15ヶ国の参加者を破って優勝した高肇昫;さんは、花蓮瑞穂の蜜香紅茶の生みの親だ。
高さんは10年前から蜜香紅茶と蜜香緑茶の試作を開始した。紅茶を作ろうと思ったのは、世界市場でのシェアが大きいからだ。紅茶作りを学ぶために、彼は茶葉改良場に教えを請うた。
花蓮県瑞穂郷の茶畑は広くはなく、取扱業者も10数軒に過ぎない。低海抜のウーロン茶が振るわない中、郷全体の茶畑面積も以前の200ヘクタールから現在は60ヘクタールまで縮小した。瑞穂郷農業組合推広係の甘賢璋さんによると、以前は舞鶴山の両側はすべて茶畑だったが、今は金針菜やパイナップル畑に変わったという。
舞鶴地区の茶の9割以上は大葉ウーロン品種で、かつては夏茶は採らなかったが、最近は蜜香紅茶が有名になり、農家では冬茶と春茶の他に夏茶(芽茶)を3回収穫するようになった。夏茶はウンカに食われ、それを紅茶と緑茶にすると、かえって風味が増し、瑞穂郷の茶産業は復活している。
ウンカこそ紅茶に蜜の香りを持たせる功労者だ。ウンカに吸われた(破壊された)茶の木は自己防衛としてアミノ酸を作り、それによって蜜のような香りが生じるのである。
だが、ウンカはどこにでもいるわけではなく、ホタルのように高温多湿で空気のやや籠った山の窪みに生息し、しかも「無農薬」の茶畑にのみ集まってくる。一般に5〜6月と9〜10月に多く見られる。
2007年「紅玉紅茶」で農業委員会の十大名茶賞を受賞した「富源山荘」の葉発善さんによると、以前夏茶を摘まなかったのは苦みと渋みがあるからで、清々しい香りを大切にするウーロン茶に合わなかったからだ。現在は、春と冬のウンカのいない時期にはウーロン茶を作り、ウンカのいる夏茶で蜜香紅茶と蜜香緑茶を作るという具合に季節の特性を活かしている。