規模による専業化
統計数字だけ見ても、2001年には台湾の果物およびその関連品の輸入量は43万4000トン余りで、翌年の元日にWTOに加入してから45万5000トンと2万トンも増加した。これに反して輸出量は8万9000トンから8万5000トンへと減少している。
「WTO加入は重要な要素ですが、角度を変えて見ると、WTO加入は台湾農業の問題点を浮き彫りにしたともいえます。農家の規模が小さく、政策が不明瞭、それに生産販売構造と技術が時代に合わず、台湾の農業は問題だらけでした」と、蔡宏進教授は言う。
台湾農業の推進というならば、農協の役割を見直す必要があると、蔡教授は続ける。わが国の農家は一般的に高い教育を受けておらず、新しい知識の吸収に遅れがちである。そのために技術の導入や販売の指導、さらに政府の政策の広報活動など、農協は重要な役割を果さなければならないはずである。ところが、最近では農協自身の位置づけに問題が出てきて、農協の中には自身の存続問題が優先してしまい、大敵を迎え撃つ農家に協力などする余力がないところが多いのである。
特に町や村の農協の信用部では不良債権問題が深刻となっており、それが本来の農業推進部門の業務に影響し、農業推進の業務は停滞したままである。大切な時に協力を得られない農家は、ただ焦るばかりだと蔡教授は言う。
「外患にはまず内憂を解決しなければなりません。農業を救うには国内問題の解決が先決です」と呉明敏教授は話す。現在の状況から見ると、コスト割れの小規模農家の問題、それに農業関係者の高齢化という大きな難問はすぐには解決できないであろうが、生産・販売ルートの強化なら政府が力を発揮できるのではないだろうか。
生産・販売ルートの不均衡は、農家にとってこれまでずっと悩みの種であった。台湾では各農家の耕地面積が狭い上に、農業を推進する協力機関が分散し、資金、設備と技術などの投下に限界がある。特に今日のような競争の激化した時代にあって、生産販売部門の遅れが特に目立つのである。
呉教授はニュージーランドのキウイのブランド「ZESPRI」を例に挙げて説明する。この単一ブランドで世界にキウイをマーケティングしているが、そのチームは果物農家自身から構成されている。この生産から流通過程まで全体は、商品の研究開発から始まっており、品種の選択、生産からマーケティングまで農家が全部参与している。また収穫、輸送に至るまで厳格な規定が設けられているために、ブランド力を維持できている。台湾の果物農家も、将来はこの方向を目指していかなければならないだろう。

北回帰線が通る台湾は地形も気候も多様で、さまざまな種類の果物が採れるため「果物天国」とも呼ばれている。