貧困対策と税制改革
複雑なニュープアの問題を解決するには「貧困は個人の問題ではなく、社会構造の問題だ」という認識が必要になる。
文化大学労働関係学科の李健鴻は「社会救済拡大」から「労働安全保障」への流れで貧困対策を構築するべきだと考える。
まず、貧困認定基準を緩和して社会救済の範囲を拡大する。昨年末、立法院は「社会救済法」改正案を採択し、最低生活費の計算式を先進国の標準に合わせ、平均消費支出の60%から可処分所得中央値の60%へ変更した。今年7月の実施以降は、より現実に則した社会救済が可能になると見られる。
次は最低賃金の引き上げだ。ILOの最低賃金決定制度条約は賃金が低い労働者とその家族を保護する目的で定められたものだ。2009年、台湾の労働者の扶養家族は平均1.25人、台湾省の月の最低生活費9800元で計算すると、労働者1人当り月に2万2000元の収入が必要となるが、昨年9月の最低賃金は1万7880元で、確かに引き上げる必要がある。
労働委員会の王如玄主任委員も、今後は毎年最低賃金を審議すると述べたが、各業界団体とコンセンサスを得る必要があるとしている。
もう一つは非正規雇用労働者の権利保障だ。派遣の場合、派遣業者と依頼者の責任を明確にするほか、作業内容が同じである場合は報酬も正規雇用と同額にする必要があると労働団体は主張している。ただ、労働者の権益を定めた労働基準法にはまだ派遣に関する章がなく、労働委員会が意見をまとめて行政院に提出しなければならない。
ここ数年、政府は失業率を下げるために数々の短期雇用プランを打ち出してきたが、根本的な解決には産業構造の調整や税制改革が欠かせない。現在のキャピタルゲイン課税の欠陥を改善しなければ貧富の差の拡大を止めることはできない。
ワーキングプアの問題について日本の湯浅誠は、自分がパートや派遣ではないからと他人事と思ってはならないと警告する。雇用柔軟性のうまみを知った企業が、今後も社員を正規雇用して保険料や退職金を負担し、組合と向き合おうとするだろうか。無関心こそ、この問題の最大の敵であり、皆で直視しなければならない。

表1 雇用者の平均賃金上昇率と経済成長率(2000-2010年)/資料:主計処

経済的に困難なシングルマザーは社会救済を受ける厳しい条件をクリアできず、道端で焼き芋を売りながら幼い子供の面倒を見る他ない。下:最低限の生活に必要な収入を得るために長時間労働をせざるを得ず、車の中で仮眠をとる。

危険で体力も消耗する建築現場の臨時工だが、賃金は年々低下している。
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表3 台湾の非正規雇用の増加(2004-2010年)/資料:主計処

ワーキングプアの増加に対し、政府は企業に賃金引き上げを呼びかけると同時に、中長期的に雇用環境を改善する対策も立てる必要がある。

ホワイトカラー、ブルーカラーに関わらず、朝から晩まで働いても生活ぎりぎりの収入しか得られない。