コンピューティングの力は国力
台湾AI卓越センター(Taiwan AI Center of Excellence,Taiwan AICoE)の座長であり、国連Internet Governance Forum(IGF)の顧問も務める劉静怡さんは、台湾のソブリンAIの重要性を強調する。「ソブリンAIでは言語と文化の多様性を維持できます。またそれはハードパワーの戦いであるだけでなく、民主主義の価値の戦いでもあるのです」と言う。
NCHCの張朝亮主任によると、いわゆる「ソブリンAI」には三つの要素がある。データの自主性、コンピューティングの自主性、そしてAIモデルの自主性である。
コンピューティングの面では、NCHCは2025年に新たにスーパーコンピュータ晶創25(Nano5)をオンライン化した。9月に台南に創設されたクラウドコンピューティングセンターでは新世代のGPUスーパーコンピュータ「晶創26(Nano4)」を構築中で、TSMCの4ナノチップとNVIDIAのGB200、H200などの高性能GPUを搭載している。これは2026年の上半期にはオンライン化が実現する見通しだ。
「コンピューティングの力は国力です」と張朝亮主任は言い、世界で最も高性能なチップの多数が台湾で製造されていると胸を張る。ただ、多くの人が身落しているのは、実は世界のハイエンド・サーバーの90%は台湾で生産されている点だ。しかし、それらの大部分は海外へ輸出されており、台湾で使用されているのはごくわずかなのである。
台湾の産業界は2025年にスーパーコンピューティング連盟を結成した。その目標は、主権(ソブリン)を有する信頼性の高い台湾のコンピューティング・エコシステムを構築することである。政府と民間が協力し、世界のAI技術とハイパフォーマンス・コンピューティングにおける台湾の影響力を一層高めていきたいと考えている。

スーパーコンピュータ晶創25(Nano5)は2025年から利用が始まった。(NCHC提供)