潮流を捉える西岸の定置網
海流の様子に合わせて網起こしをする東部に対し、西部海岸の網起こしは時間との戦いだ。新竹市の明発定置漁業場の経営者・鄭明発さんによれば、西部海岸の潮の満ち引きは約6時間ごとに変わるので、時間を捉えて海に出る必要がある。
明発漁場はかつて片端口(入口が一つ)の網を使用しており、1日に1度しか網起こしできなかった。そこで回数を増やそうと、鄭さんは独自に「両端口一段落し網」を開発し、満潮と干潮に合わせて南北両側の箱網でそれぞれ捕獲できるようにした。
網は大切な仕事のパートナーなので7月と8月には休漁して休んでもらう。ちょうど台風の季節でもあるし、その間に網の掃除をするのも大切な仕事だ。
定置網は年間約10カ月海中に置かれたままになる。ぶら下がった石袋は底生魚にとって岩礁さながらのお気に入りスポットだし、網も海藻やフジツボの心地良い住みかとなる。だがフジツボや海藻が増えすぎると網が重くなり、網起こしの判断を狂わせてしまいかねないのだ。
網を海岸に引き上げるには2~3日かかる。まず高圧水流で網に付着した生物を洗い落とし、それから破れた網目を修繕する。日ごろは海上で波と戦う漁師たちも、貴重な網に対しては手つきを和らげ、針を手に丁寧に補強していく。
また台風も網の大敵だ。それを鄭明発さんは身をもって体験してきた。例えば、より高価な底生魚を獲ろうと、網起こしを数日間延ばすという危険を冒したことがあった。その結果、1千万元以上もする網が一夜にして失われてしまう羽目になった。今でも忘れられない大きな損失だ。
こうした大損失を2度も経験したとはいえ、定置網漁に対する彼の情熱は消えない。漁場で働いて36年、今でもこの仕事を愛し、より多くの人にこの産業を理解してもらいたいと願う。
それで鄭さんはソーシャルメディアを通じ、どんなことが海に優しいのかといった知識も魚を求める人たちに広めている。また、網起こしの様子を実際に見てもらおうと巨額を投じて遊覧船を購入したし、学校の授業で定置網漁について学べるよう、教育機関とも協力している。