チーチー線
集集線は、幾度も不幸な運命にさらされてきた。1986年には廃線が検討され、1999年には台湾大地震の直撃を受けた。この集集線に乗ると、無常の世で生命を大切にしなければならないという思いがわいてくる。
1921年、日本政府は日月潭水力発電所を建設するために集集線の敷設を開始した。現在の集集線は全長29.7キロ、南投県で唯一の鉄道だ。集集線は景色が美しいだけでなく、沿線の集集駅、明新書院、広盛宮、目仔窯、水里蛇窯、「開闢洪荒」の石碑などもよく知られており、いずれもこの土地の文化を感じさせるものだ。
「緑のトンネル」は集集線を代表する景観である。南投県の名間郷から集集鎮までの間は省道16号線が鉄道に沿うように通っており、その両側にクスノキがびっしりと植えられて生い茂っているため、まるで緑のトンネルをくぐっているような感覚を味わえる。夏の日の午後にここを通れば、陽光と涼しい風が車窓から吹き込み、ロマンチックな気分が味わえる。
1999年の台湾大地震で、集集線は大打撃を受け、各所が寸断されたうえに終点の集集駅も崩れてしまった。その後、駅は修復されたが、今日に至るまで南投県の観光産業はまだ本来の活気を取り戻してはおらず、集集線の業務は大きな影響を受け、沿線の景観の修復も終わっていない。この時期に集集線に乗れば、復旧に思いを寄せることができ、またその苦難の道が人生と同じであることを感じられるだろう。
アリサン森林鉄道
1912年に開通した阿里山森林鉄道は中華民国と同じ年齢で、世界の三大高山鉄道の一つに挙げられる。台湾の他の鉄道と違うのは、阿里山森林鉄道は鉄路局ではなく林務局の管轄下にあることだ。
阿里山を歌った歌は多いが、中でも「ひぃふぅみぃと台湾に行けば、台湾には阿里山、阿里山には神木がある」という童謡は内外で歌われており、故郷を離れた台湾人の郷愁を誘うものでもある。
阿里山鉄道に乗れば熱帯林から温帯林、寒帯林へと変わる風景を楽しむことができる。しかし、ビンロウや茶、ワサビの栽培のために本来の林相は大きく破壊され、有名な神木も1997年の7月1日に倒れてしまった。多くの場所は人為的な破壊に遭っているが、幸い阿里山鉄道は本来の姿をとどめており、高山鉄道特有のループ線やスイッチバックが鉄道の旅を一層楽しいものにしてくれる。
阿里山鉄道の最高傾斜度は62.4/1000で、まず螺旋を描くように山を登り、山頂に近づくとジグザグに折り返すスイッチバックを繰り返しながらさらに上っていく。この旅を味わったことがなければ、台湾人ではないとまで言われている。
今年の初め、人為的なミスから阿里山鉄道では深刻な脱線事故が起こり、現在に至るまで線路は封鎖されたままだ。100%の安全を確保した上での一日も早い運行再開が期待されている。