点から面へ:港湾、空港、農業科技園区
淡水河の河口南岸に位置する台北自由貿易港区(フリートレードゾーン)の埠頭には数百台の白い自動車が並んでいる。これから後背地の工場での加工を経て、船で遠く中東へ輸出される。
南台湾の屏東農業生物科技園区(グリーンバイオパーク)では建設工事が進んでいる。ドイツのワクチンメーカーや日本の食品メーカーなどが自社工場を建設している。
自由経済示範区は、台北、台中、高雄などの6つの港湾と桃園国際空港のフリートレードゾーン、屏東農業生物科技園区に置かれ、これらの地域で規制緩和と市場開放を進めていく。
自由経済示範区の計画と推進を担う国家発展委員会の管中閔・主任委員によると、我が国では2003年からフリートレードゾーンを推進し始めたが、著しい成果が上がらなかった。それは主に「自由貿易港区設置管理条例」が税制優遇を中心としていて、その他の面での自由化が十分ではなかったからだと考えられる。そこで、自由経済示範区では既存の基礎の上にさらなる自由化と国際化を進め「この小範囲のパイロットゾーンを通してコンセンサスを確立し、これが行けると判断されれば、点から面へと適用範囲を広げて『フリー・エコノミック・アイランド』へと推し進めていきます」と言う。
隣国の既存の経済特区を見ると、それぞれに特色があり、運営モデルも異なる。
国家発展委員会産業発展署の詹方冠・処長によると、韓国の経済特区の場合、多くは政府が開発やインフラ整備に資金を投じ、税制優遇制度を設けて投資を誘致する。一方、台湾の自由経済示範区は、規制緩和を通してヒト・モノ・カネの流れを自由化し、外国からの投資を促すというものだ。
詹方冠によると、自由経済示範区は規制緩和と自由化によって経済成長のエネルギーを高めて経済体質を調整するとともに、外国とFTA交渉を進める際には、これを通して市場開放における台湾の努力を示すことができるという。
管中閔によると、台湾は2002年にWTOに加盟した後、多角的貿易体制を通して輸出を拡大できると期待していたが、WTOの自由化交渉はなかなか進まず、それに代って地域経済統合への大きな流れが起きた。しかし、その中で台湾は「アジアの孤児」のように交渉から排除され、自ら自由化を加速させることによってのみ、地域経済統合に加わる機会が得られるのである。
開放と誘因
世界のネットワークに加わるには、国際化と自由化が欠かせない。
まず、法規面で多くの国と同等であることが求められる。例えば、ヒトやモノの出入りに関する法規に関して自由経済示範区では国際的なFTAの標準に照らしてさらに規制を緩和している。
人材面では、これまで台湾ではホワイトカラーの外国人の就労を制限していたが、自由経済示範区では就労内容と出入国を大幅に自由化した。外国人はノービザで就労経験も問わず、中国大陸籍の人には商務数次の出入境許可を出す。
物品の輸出入の面では、税関業務も革新的な管理を行ない、物品の輸出入の利便性と速度を高めている。また、輸入規制対象の物品を自由経済示範区に輸入する場合も、貨物保管と簡易加工に免税優遇措置を提供する。
市場開放の面では、アメリカと韓国が締結したFTAを参考に、外国の建築士や弁護士、会計士などの専門サービス業による投資を認めた。これは我が国のWTOにおける約束のレベルを超えるものである。
資金面では、外国からの投資には事前の審査は必要なく、届け出るだけでよいとしている。台湾では中国大陸の資金に対しては最も厳格な規制を適用してきたが、これを漸次開放するために、自由経済示範区では製造業においては中国大陸資本を一般の外資と同等に扱い、サービス業でもWTOにおける約束を適用している。
外国の専門人材を誘致するために、自由経済示範区では、3年間は給与所得税を半減するという優遇措置も採っている。また、企業の海外利益の国内還流を促すために、本来は17%の企業所得税のところを、還流した資金を自由経済示範区に投資すれば免税することとしている。

自由経済示範区(パイロットゾーン)は既存のフリートレードゾーンを基礎として台湾をさらなるグローバル化へと向かわせる。