漁村の生態を体験する
漁業をテーマとするこの民宿では「養殖場生態体験」ツアーも主催している。養殖池での魚釣りや餌やり、いかだ遊び、カニ捕りなどで、親子連れに人気がある。これ以外に、妻の阿娟は生態解説員の資格も持っているので、お客の要求があれば、クロツラヘラサギ案内や七股潟湖での船遊び、海口漂流木森林の旅なども開催する。
注目したいのは、こうした活動の対象が宿泊客だけでないという点だ。地域への還元を重視する阿旺は、会場や教材を無料で提供して村の建功小学校の児童のために生態キャンプを実施しており、子供たちに地域の文化や歴史や自然環境に触れさせている。このキャンプはすでに5回も開催している。
阿旺によると、彼のように故郷に帰って働いている人はこの地域では多くない。民宿を建て始めた頃、父親をはじめとする家の年配者は「なぜ自分の家を他人に開放するのか」と反対していたという。ここ数年、民宿の知名度が上り、農業委員会漁業署が彼を漁村活性化の講演に招いた頃から、父親もようやく反対しなくなった。「以前、父はお客を見ると顔をしかめたものですが、今は積極的に養殖場を案内してくれます」
植樹の好きな阿旺と阿娟は、養殖池の土壌塩化や海からの強風を克服するために民宿の周囲に欖仁樹(モモタマナ)を植えており、民宿の名前もここからとった。黄昏時、そよ風が枝を揺らし、一面の養殖場で魚の背が光る。欖人民宿の最も美しい風景だ。故郷に戻った一家は心豊かに暮らしている。

阿娟が作るテラピアの煮付けは必ず注文したい一品だ。

釣りやいかだ遊びなど、欖人民宿が開催する生態体験ツアーは親子連れに人気がある。

釣りやいかだ遊びなど、欖人民宿が開催する生態体験ツアーは親子連れに人気がある。

かまぼこ型の探更寮は、かつて養殖職人が池を守りながら休む場所だったが、今は民宿で最も人気のある客室だ。