将来の展望:台湾の法規制突破
将来に向けて、周囲を海に囲まれた島に暮らす台湾の人々が、悠々とした青い海と空に遊んでほしいと、呂佳揚は考えている。
「国内からの受注がまったくなく、100%輸出頼みという点で、クルーザー産業は真の意味での台湾の奇跡です」と、呂佳揚はこれを最大の皮肉と考える。四方が海の台湾で、唯一陸上だけでヨットを製造する国、しかも唯一ヨットが一般に開放されていないのに、これを製造している国なのである。
ヨットを理解しない政府に加えて、台湾人も水に親しまず、マリンスポーツを危険と考えているのも、発展の障害である。ヨットの需要がなければ、政府もこの産業を重視しようとは考えないだろう。
国内市場を開発しようにも問題が山積みで、短期的な成果は望めない。台湾でヨット、クルーザーを所有している人口は100人に満たないのである。
台湾クルーザー同業組合の理事長でもある呂佳揚は、政府への説得を続け、規制を緩和して一般向けの埠頭建設推進を訴えている。
「世界のヨット市場の規模は400億米ドル、台湾のクルーザー・メーカーで、80フィート以上の大型艇を製造できる会社も10社以上あります。生産高、生産能力ともに規模のある業種なのです」と呂佳揚は言う。
よいニュースとして、2010年に高雄市が好意的な対応を見せ、24億台湾元を投じる南星計画をスタートさせることになった。2015年の完成を目指し、105ヘクタールの用地を確保してクルーザー産業用の工業団地を建設し、川上から川下までメーカーを集積する予定である。そこにはソーラー発電の低炭素区域を設けて、埠頭から水際、進水設備まで大型設備を設置し、高雄をアジアの豪華クルーザー製造拠点としたいと言うのである。
創業時の30人規模から、多面的な市場戦略を運用し、1000人規模のグループ企業に発展し、2007年には台湾の優良ブランドへと成長した嘉鴻グループは、これまでに700隻に上る豪華クルーザーを製造し、マイアミ海岸からコートダジュールまで、どこにも船尾にHorizonのブランドをつけた豪華ヨットを目にするようになった。
2010年の末、嘉鴻グループは「自分の水平線を目指せ(Define your Horizon)」をキャッチフレーズに、台湾製品の品質とイメージの向上を打ち出した。世界ランク4位に位置する大型クルーザーのメーカーとして、アジアのクルーザー王国から世界へ舵を切った。
Horizonグループ概要
設立:1987年
資本金:15億台湾ドル
売上:35億台湾ドル(2008年)
製品:ヨット、豪華クルーザー、ソーラー・クルーザー
クループ企業:嘉鴻遊艇、先進複材科技、鴻洋遊艇、高雄造船
市場占有率:台湾の大型クルーザー輸出量の3分の1
世界の従業員数:1040人

110フィートの豪華クルーザーは嘉鴻企業の主力商品の一つだ。内部の全設備は顧客の要求に従ってオリジナルを作る。寝室から操舵室、キッチン、ダイニングまですべて揃い、これで大海原にこぎ出せば贅沢なことこの上ない。

110フィートの豪華クルーザーは嘉鴻企業の主力商品の一つだ。内部の全設備は顧客の要求に従ってオリジナルを作る。寝室から操舵室、キッチン、ダイニングまですべて揃い、これで大海原にこぎ出せば贅沢なことこの上ない。

高雄の小港にある嘉鴻の工場では大型クルーザーが建造中だ。ほとんど全行程が手作業で、完成までには2〜3年かかる。

これまでに豪華クルーザーを700隻も製造し、「アジアのクルーザー王」と呼ばれる高雄の嘉鴻企業(Horizon)は、海外だけでなく国内市場も開拓したいと考えている。写真は快適な船内で話す同社CEOの呂佳揚。

110フィートの豪華クルーザーは嘉鴻企業の主力商品の一つだ。内部の全設備は顧客の要求に従ってオリジナルを作る。寝室から操舵室、キッチン、ダイニングまですべて揃い、これで大海原にこぎ出せば贅沢なことこの上ない。

「視野が人の世界を決める」と言う。嘉鴻は台湾のクルーザー産業に奇跡を起こし、私たちの視野を広げてくれた。写真はシドニー港に停泊するHorizonのクルーザー。