どこへ行けば春節の雰囲気を味わうことができるだろう。
「どの通りでも路地裏でも、人に会えば誰もが開口一番、恭喜恭喜(新年おめでとう)」
答えは、この春節の歌「恭喜恭喜」が教えてくれる。春節気分は、通りや路地裏、市場などで、人々が交わす「恭喜」の挨拶の言葉にある。
海外にある中華街の龍舞や獅子舞を見慣れた外国人にとっては、「にぎやかさ」こそ華人の「春節の雰囲気」と言えるだろう。
だが、龍舞や獅子舞が少ない台湾では、どこへ行けば春節らしい「にぎやかさ」を感じられるのだろうか。

花も春節気分を盛り上げる。赤は開運、ピンクは可愛らしく、黄色は金運を代表する。(左)金銭樹(ザミオクルカス・ザミフォーリア)も人気がある。
台北市大稲埕の迪化街は全長800メートル、茶葉や漢方薬材、各種乾物の問屋街として昔から広く知られている。1996年の春節前、台北市はここに全国初の歳末市「年貨大街」を開いた。古い町並みを活かし、旧正月に欠かせない贈答品や食料品、漢方薬材などを販売する店が並ぶ。問屋街が一般消費者の年末の買い出し商店街となって多くの人でにぎわうようになり、好評を博している。
以来18年を数える台北の年貨大街は、今では迪化街の他に、寧夏路、台北駅北口、台北地下街、華陰街、沅陵街、栄浜、西門、四平の商店街などでも開かれるようになった。
2008年以来、年貨大街の企画を請け負ってきたマーケティング会社、純粋創意整合行銷公司の陳振家は次のように説明する。寧夏路の商店街はもともと屋台料理を主とするナイトマーケットで、沅陵街は靴屋街、華陰街は皮革製品の問屋街、四平陽光商店街は女性用品を扱っている。そこで、年貨大街としては、それぞれで異なる商品をメインとしつつ、乾物や食料品、贈答品、服飾、日用品などが一度に揃うようにしているという。
同社の見積もりでは、今年の春節前後にはこれら九大商店街にのべ323万人が訪れ、売上は31億元を超えて、台北市歳末市の過去最高の人出と売上を記録する見込みだ。
迪化街の年貨大街が全国的に知られると、他の地域でも同様の歳末市が開かれるようになった。中でも「北の迪化、南の中街」として迪化街と並び称される高雄の三鳳中街は、南部で最もにぎわう歳末市である。
「旧正月の1日から5日までの間、毎日のべ10万人以上が訪れます」と三鳳中街商機促進会理事長の伍進昌は言う。
三鳳中街は400メートル、幅7メートルの通りで、道幅は広くないが、そのぶん買い物客が押し合い圧し合いするにぎやかさが感じられ、各地の食材や漢方薬、菓子、料理の店が軒を連ねる。
今年はさらに、糖葫蘆(フルーツの飴がけ)や捏麺人(小麦粉を練って作った人形)など、伝統の菓子や玩具を扱う屋台も並び、春節の雰囲気を盛り上げた。
伍進昌によると、年貨大街を訪れる外国人も少なくなく、日本からの観光客はカラスミ、香港からの観光客は乾物やナッツ、ツバメの巣などを好んで買っていくという。

花も春節気分を盛り上げる。赤は開運、ピンクは可愛らしく、黄色は金運を代表する。(左)金銭樹(ザミオクルカス・ザミフォーリア)も人気がある。
旧正月の休みには、一家そろって国立宜蘭伝統芸術センターを訪れるのもいいだろう。園内には台北大稲埕の古い町並みが再現されていて、道の両側の商店にはラムネや果物の砂糖がけ、客家伝統の花柄生地といった伝統の商品が並び、レトロな雰囲気を楽しむことができる。
昔から春節には民間での賭け事が許されていたが、大っぴらに賭けることはできない。そこで、宜蘭伝統芸術センターでは、園内の挙人邸宅(宜蘭で初めて科挙の郷試に合格した黄纉緒の邸宅)を見学すると、賭け事に使う玩具のお金をもらうことができるようにしている。
園内には財神や三太子、喜神、福神といったおめでたい神様に扮した人がいて、大人も子供も一緒に記念写真を撮るのに忙しい。
旧正月には寺廟を参拝したいという人は、国立宜蘭伝統芸術センター内の文昌廟でもお参りをすることができる。旧暦1月4日からの10日間は、聖杯(三日月形の木片)を使って神様に祈りが通じれば、縁起の良い亀の形の石鹸をもらうことができ、一年の無病息災、学業成就、事業発展などを祈願できる。また旧暦の1月1日から5日までの間は、文昌祠の外の舞台で歌仔戯も上演される。
この他に、幼い子供のための伝統の風習である「収涎」と「抓周」をしてもらうこともできる。「収涎」というのは、満4ヶ月の赤ちゃんの涎の悩みを解決するおまじない、「抓周」というのは満1歳の赤ちゃんの目の前にさまざまな品物を並べて、その中から赤ちゃんが何をつかむかによって将来の興味や進路を予測するという風習である。
宜蘭伝統芸術センターは「台湾で最も春節らしさが味わえる場所」とされており、同センターの統計では毎年春節の時期に20万人以上が訪れているということだ。

お祝いごとには花が欠かせないが、旧正月も例外ではない。春節の1か月前から、台湾の主な生花市場は年越しの花を求める人出でにぎわい始める。
台北市内湖にある台北花市は全台湾で最大規模の生花卸売市場である。台北花市の陳根旺・課長によると、台湾の春節の生花市場は着実に成長しており、次々と新品種が発売され、需要も伸び続けているという。
花の色で言うと、赤やピンク、黄色が最も好まれる。赤は縁起が良く、ピンクは可愛らしく、黄色は金運を招くとされている。
一般に、花市では鉢植えと切り花が売られており、鉢植えではコチョウランの需要が最も大きい。2013年の春節には台北花市だけで9万6000鉢のコチョウランが売れ、売上は1400万元余りに達し、他の種類の売上を大きく上回った。
陳根旺によると、コチョウランの中では花弁の幅が8センチ以上のものが春節らしい「富貴」を感じさせるが、価格が高いため、実際にはそれより小さいものの方がよく売れるという。
台湾のコチョウラン栽培技術は世界をリードしており、次々と新しい品種が生み出されている。台湾の原生種で重要な交配母種である台湾阿嬤(ファレノプシス・アマビリス)は白い花で、十数の花弁を一斉に開く。その高貴な姿は祝い事にふさわしく、ここ数年は春節の花として好まれ、売上も年々伸びているという。
この他に、鉢植えでは金銭樹(ザミオクルカス・ザミフォーリア)、開運竹(ミリオンバンブー)、馬拉巴栗(パキラ)、福禄桐(ポリシャス)、菊、長寿花(ベニベンケイ)、繍球花(アジサイ)、虎頭蘭(シンビジウム)などが春節の時期によく売れる。
切り花では、カサブランカ、グラジオラス、菊、トルコキキョウ、アンスリウムなどが人気があるという。
台北市の大安森林公園の横で開かれる台北建国休日花市は、台湾で最も広く知られている花市で、昨年末に台北MRT信義線が開通してからは、より多くの人がここを訪れるようになった。建国花市の企画員である黄明堯によると、今年の春節前は花を買う人でごった返し、2日間に10万人というこれまでの記録を超えたという。

各地で開かれる歳末市は多くの人出でごった返し、春節気分も盛り上がってくる。
花と同様、春節に何より欠かせないのは「食」である。中でも有名な老舗が軒を連ねる台北の南門市場は、年越しの惣菜や食材を買い求める主婦で毎年にぎわう。
春節前の一週間、南門市場はとにかく人出でごった返す。あるメディアの報道では、この一週間だけで南門市場の270店舗の売上は3億台湾ドルに達するそうだ。
「旧正月の1~2ヶ月前から買い物客が増え始め、それが旧正月直前まで続き、まさに年越しの雰囲気が味わえます」と話すのは南門市場商店自治会会長の王銓国だ。
南門市場は外省(中国大陸各省)の惣菜で知られており、有名な店には億長御坊、逸湘斎、上海火腿などがある。これら名店が軒を連ね、政財界や文化界の著名人もたびたび訪れるため、南門市場は「セレブの台所」とも呼ばれている。
ここ数年は、宅配サービスを導入したことによって一層便利になった。王銓国によると、仕事や就学のために地方から台北へ出てきている人の多くが、南門市場へ来て年越し料理の宅配を注文すると、大晦日に帰省した時には、家族と一緒においしい料理を味わうことができるという。
「南門市場に来なければ、年越しの気分は味わえないでしょう」と、王銓国は多くの主婦の気持ちを代弁する。
春節は、食であれ、遊びであれ、家の中を飾るのであれ、人々はそこにただ「春節らしい雰囲気」を求めるに過ぎないのである。今年の春節も、各地の通りや路地裏で新しい年の始まりを感じられることだろう。

花も春節気分を盛り上げる。赤は開運、ピンクは可愛らしく、黄色は金運を代表する。(左)金銭樹(ザミオクルカス・ザミフォーリア)も人気がある。

花も春節気分を盛り上げる。赤は開運、ピンクは可愛らしく、黄色は金運を代表する。(左)金銭樹(ザミオクルカス・ザミフォーリア)も人気がある。


花も春節気分を盛り上げる。赤は開運、ピンクは可愛らしく、黄色は金運を代表する。(左)金銭樹(ザミオクルカス・ザミフォーリア)も人気がある。