世に伝えられたい
呉卿の金彫刻で最も有名なのは、1993年に故宮博物院が在世の芸術家作品としては初めてコレクションした「瓜瓞綿々」である。長さ2.8メートル、高さ1.2メートル、重さ80キロの銀の台座に青銅の棚が組まれている。3株の苦瓜が絡まり、そこに138匹のアリが這う。実物大のアリを写実的に描き、自然界の一こまの生命を表現した。枝葉が芽を出し伸びていき、果実が実り、蝶が訪れ、蟷螂が葉の間に黙考している。蝉や蝿まで加わり、生気に満ちている。作品自体は静寂に沈むが、見る者にその生命の躍動を感じさせ、迸ってくる。この作品は千のモチーフを型を取って作成し、高温加工で接続したものである。
仏教の中に生命の安らぎを感じる呉卿は、仏光大学の建設を援助するため、1997年に台北で呉卿金彫刻展を開催し、入場料を建設基金に当てた。仏光山の星雲大師は文を作り「呉卿の芸術への造詣は驚くべきものがあり、その創作精神に満ちる憐憫と省察は作品より感動的である。手に持ち製作するのは金でも、心にあるのは金ではなく修行の経文であり、外の障害に紛らわされず、仏に向って修行するような彫刻、疲れれば座禅を組む、その彫刻がすでに一つの境地である」と述べた。
加と減の間
呉卿の金彫刻は木彫より知られるようになったが、その作品の質感を支えるのは木彫である。実物の植物から型を取ることもあるが、まず木彫を完成させ、そこから型を取って製作する。艶のある上等のツゲは、普通の蝋型では表現できない精緻な質感を見せられる。
木と金という二つの素材についての呉卿の創作経験は、木彫は減法であり、一刀一刀余分な部分を削って必要な形を作っていき、素材はどんどん少なくなっていく、それに対して金彫刻は加法であり、必要な形態を分解し、型を取って部品を作り、それを高温加工で繋げていく楽しみがあると話す。
芸術教育を受けずに独創的な作品を完成してきた呉卿に、誰もが敬服せざるを得ない。創作の道が辛く孤独であろうと、仏法を学び有情無情の生を探求していく中で、その出口を見出しているかのようである。
現在の彼は、呉卿美術館を設立して作品をコレクションし、美術の資産を伝えて生きたいと考えている。そのため2003年から台北ファーイースタン・ショッピングセンターに店舗を設置し、手ごろな作品を展示している。実物大のアリなどもあり、一見の価値がある。