「台湾」がインスピレーションに
8月下旬、ロンドンでの展覧会を前に、私たちは林磐聳さんにお話をうかがった。「今回の『看見台湾デザイン展』の主なテーマは、『台湾のイメージ』と『国際公益』で、これらを表現するポスターを展示します」と説明してくれた。林磐聳さん自身の作品の他に、台湾の26人のデザイナーによるポスターが出品される。多様なビジュアルデザインを通して台湾のクリエイティビティを示し、世界的な課題に対する関心も表現する。この「デザイン」を中心とした文化外交の目的は、自由で多様で創意に満ちた台湾を世界に見せることにある。
言葉は大量の情報や主張を伝えることができるが、グラフィックデザインは一目で瞬時に多くのことを伝える。30余年にわたって台湾をテーマとしてきた林磐聳さんのポスターは、一目見ただけで台湾の境遇や特質、台湾の精神を感じ取ることができる。
林磐聳さんは1996年の作品「多彩的世界,迷失的台湾」を見せてくれた。色覚検査表のようにオレンジ色と緑の点だけを用いて台湾の形が描かれている作品だ。これは色彩の中で多くの人が国家の境遇や位置付けを見失っていることを表現している。同じタイトルの2005年の作品は、色とりどりの無数の線の中に台湾の形が浮かび上がっている。色とりどりの線は、コンピュータテクノロジーや文化クリエイティブ産業における台湾の成就を示しており、世界に向けて台湾の価値と美を示す作品となっている。この二作品のコントラストは、アーティストの長年にわたる観察と内省から来ている。
2007年、林磐聳さんは美術部門の国家文芸賞を受賞した。台湾では唯一、国家文芸賞を受賞したデザイナーであり、最年少の受賞者だった。彼が探求してきた「台湾」というテーマはすでに多くの人に深い印象を残しており、そのポスターデザインは広く知られている。2008年からは、出張で飛行機に乗ったり、暇がある時などに、筆ペンや万年筆、針ペンを手に、木の葉や花びら、蔓などを組み合わせて、常に心の中にある「台湾」を描いてきた。このシリーズ作品は今も制作が続いており、独特のスタイルの「台湾家書」シリーズとなっている。
今回展示されたこのほかの作品は、世界的な課題に対するデザイナーの関心を示すものである。「和平」という作品は、一方通行の道を描くことで平和こそ唯一の道であることを表現する。「生命」は、シンプルな赤い十字がLIFEの文字にはめ込まれている作品だ。この他に、林宏澤の「桜花鉤吻鮭(タイワンマス)」、頼岳興の「Dove of peace」、林俊良の「人類と水」といったポスターも展示される。これらは一刻も猶予できない環境問題やサステナビリティを訴える作品で、台湾が世界の一員であることを伝えている。