真剣な女性は美しい
インドネシア出身の林達さんは、台湾で中国語を学び、後にイギリスで修士の学位を取った。初めてガイドを務めた時、彼女は自分の声が震えているのに気づき、それを見ていた娘さんも泣きそうになったという。今でもガイドをする前の晩は、資料を読み直す。自分の役割をきちんと果たせないために、旅行者の印象が悪くなってしまったら大変だと思うのである。
ベトナム出身の黎于菲さんは、すべてのカリキュラムに子供と一緒に参加した。子供にも母親が努力して学んでいる姿を見せたいと思ったからである。そうして、気付かぬうちにガイドの仕事が大好きになっていたという。
台湾に来て16年になる陳秀萍さんは3人の子供の母親で、週末には新北市永和区の網渓小学校で母語(ベトナム語)の先生もしている。彼女は母語教室の生徒たちに母親と一緒に博物館のガイドを見に来るように誘っている。母語の実習にもなるし、家に籠りがちな新住民の母親たちが台湾を知るきっかけにもなるからだ。
インドネシア出身の施鷺音さんは、学校では歴史が苦手だったが、サービス大使を始めてから歴史が大好きになったという。
第二期から参加した趙有学さんは、唯一のタイ語のガイドである。20数年前に親戚を頼って台湾に来て以来、台湾が好きになってずっと住んでいる。文化や歴史が大好きな彼女は、将来はタイの友人たちに台湾博物館の建築美を知ってもらいたいと考えている。
新住民サービス大使の中で、最も人数が多いのはベトナム出身者で、ベトナム語ガイドが必要な時には、皆がアオザイを着てサポートする。そのため、休日の台湾博物館では美しいアオザイ姿の女性を見かけることがある。その中の阮氏玉梅さんは、陳秀萍さんと一緒にガイドの練習をしていた時、台湾人の夫婦から頼まれてベトナム語なまりの中国語でガイドをしたことがある。その夫婦は、彼女たちにお勧めのベトナム料理も訊ね、これから食べに行くと言っていたそうだ。
日曜の午後3時、インドネシア語のガイドが始まった。施鷺音さんは鮮やかなブルーの伝統衣装ケバヤをまとい博物館の外で、一世紀にわたって台北を見守ってきた美しい建築物について説明していた。アメリカから来たインドネシア人と、台湾科技大学と政治大学のインドネシア人留学生が彼女の説明に聞き入っている。施鷺音さんの流暢なインドネシア語は言葉もはっきりしていて、その姿は自信に満ちている。説明する身体の動きに合わせてイアリングが揺れ、その姿は何とも言えない感動を呼ぶものだった。
百年の歴史を持つ国立台湾博物館では、新住民がメンバーに加わり、文化の平等という理想に向かって新たな一歩を踏み出した。これからも「全台湾人」の物語を伝えていく。
台湾博物館では、台湾の博物館としては初めてインドネシア語やベトナム語のパンフレットを作製した。
まだ訓練中のタイ出身の趙有学さん(右)、すでにガイドを務めているインドネシア出身の施鷺音さん(左)やベトナム出身の阮氏玉梅さん(中央)も、この仕事に情熱を注ぎ、自分の知識を同胞と分かち合いたいと考えている。
まだ訓練中のタイ出身の趙有学さん(右)、すでにガイドを務めているインドネシア出身の施鷺音さん(左)やベトナム出身の阮氏玉梅さん(中央)も、この仕事に情熱を注ぎ、自分の知識を同胞と分かち合いたいと考えている。
まだ訓練中のタイ出身の趙有学さん(右)、すでにガイドを務めているインドネシア出身の施鷺音さん(左)やベトナム出身の阮氏玉梅さん(中央)も、この仕事に情熱を注ぎ、自分の知識を同胞と分かち合いたいと考えている。